映画『オペラ座の怪人』2004年版 公開20周年記念 4Kデジタルリマスター上映 公開初日 感想ネタバレです。
初めて映画のオペラ座の怪人を見ました。公開から20年のリバイバル上映です。
オペラ座の怪人とは
フランスのガストン・ルルーが1909年に執筆した小説が原作の、ミュージカル舞台作品です。
初演はロンドンの1986年と、意外とそこまで昔ではないです。ブロードウェイに上陸したのは1988年でした。
昨年、2023年にブロードウェイでは、35年の歴史に幕を下ろしました。
一度はブロードウェイで観てみたかったので悲しいです。
私が見たことがあるのはロンドン公演で、映画館で見ました。
かなり高評価の作品です。とても良かったですが、どんな話だったかいまいち覚えてなく。
今回、映画を見てようやく理解できました。舞台と全く同じ内容なのかは分かりません。
本作は2004年にアメリカで製作された映画で、日本では2005年に公開されました。
主要登場人物
役名 キャスト名
ファントム ジェラルド・バトラー
オペラ座の地下に住んでいる怪人。
幼少期はサーカス団の見世物小屋で働かされていた。
管理をしていた男を絞さつし、追われる身に。
マダム・ジリーに匿われ、オペラ座に住むことになった。
クリスティーヌ エミー・ロッサム
7歳の頃に両親を亡くし、マダムから本当の娘の様に育てられたバレエダンサーの美女。
ヴァイオリニストの父が亡くなる際、「自分がしんだら音楽の天使を送るよ」と言われていたため、姿を隠して自分に歌を教えるファントムのことを音楽の天使だと思っている。
ラウル パトリック・ウィルソン
クリスティーヌの幼馴染で子爵。オペラ座のパトロンになり、クリスティーヌと再会。
マダム・ジリー ミランダ・リチャードソン
バレエの踊り子たちをまとめているリーダー。
メグ・ジリー ジェニファー・エリソン
マダムの娘でバレエダンサー。
カルロッタ ミニー・ドライヴァー
オペラ座の看板歌手。
他
あらすじと結末
1919年、パリ。
朽ちたオペラ座で、オークションが行われた。オペラ座にまつわる品々が出品される。
老人、ラウルが、同じく年老いたマダム・ジリーに見つめられる。
猿のオルゴールを落札したラウル。過去に想いを馳せた。
最後に出品されたのは、壊れた大きなシャンデリア。
修復し、電線も通したと、覆い被さっていた布を外され、吊り上げられるシャンデリア。
その瞬間にモノクロだった世界が色付き、1870年のオペラ座へと時が遡る。
1870年、オペラ座。
オペラ座の支配人が、精神的にキツくなったために、新しい支配人にオペラ座を譲って引退。
オペラ座には気難しくプライドの高いオペラ歌手、カルロッタがいる。
カルロッタは看板歌手のため、公演には必要だが、度重なるトラブルに臍を曲げて去ってしまった。
バレエダンサーたちのリーダーであるマダム・ジリーが、娘の様に可愛がっていて孤児であるクリスティーヌを代わりの歌手として推薦した。
クリスティーヌは歌の才能があり、また見目麗しく、一夜にして人気が出た。
クリスティーヌの歌には秘密があり、彼女の歌の師匠はオペラ座に棲みつく、顔半分の仮面をつけた怪人だった。
怪人はクリスティーヌに焦がれており、ある日彼女を地下の自室へ招待した。
クリスティーヌは好奇心から、仮面を剥いでしまった。仮面の下の顔半分は、火傷のように醜く爛れていた。
怪人が言うには生まれつきで、母さえも自分を嫌ったと言う。
クリスティーヌには幼い頃に別れた幼馴染の男性、ラウルがおり、彼はオペラ座にパトロンとしてやってきた。
クリスティーヌの歌う姿を見て、過去を思い出したラウルは、すぐに彼女の元へ駆け付けた。
愛し合う二人だったが、怪人がそれを許さない。
怪人を嵌めて、警察に捕まえさせようと計画したラウルたちだったが失敗。
劇場のシャンデリアが落とされ、劇場は燃え、クリスティーヌは怪人に地下へと連れ去られてしまった。
ラウルはそれを追いかけたが、怪人に捉えられた。
怪人はクリスティーヌに「自分を選ばなければ、この男の首を絞める」と、ラウルの首に縄をかける。
クリスティーヌは初め、なぜ苦しめるのだと涙を流していたが、意を決して怪人に愛のキスを贈る。
怪人は絆されて涙し、ラウルを解放。
他の者が来る前に、早く行けと言った。
クリスティーヌは立ち去る前、ラウルからもらった婚約指輪を怪人に渡した。
怪人は抜け道から逃走した。
時は戻り、現代。猿のオルゴールを墓石に置くラウル。墓石には「クリスティーヌ 良き妻、良き母」と刻まれている。
墓跡の横に、黒いリボンがつけられた赤い薔薇が置かれていた。
それにはクリスティーヌがファントムに渡した指輪がつけられていた。
感想
同じフランス作品の、美女と野獣(1756年)とノートルダムの鐘(1831年)が混ざったような作品だなと思いました。
美女と野獣には、赤い薔薇も出てきますしね。
どれも醜い男が心清らかな美女に魂を救われるお話です。フランス人の美醜への拘りエゲツないです。
古い作品を参考にしたのかなとも思います。
逆バージョンがないのが不満です。醜い女が心清らかな美男に魂を救われる話があってもいいような。
現代に至るまで、思いつかないです。
ディズニーで考えても、アナ雪のアナがそんなに可愛くないとか、ミラベルのミラベルがブスとか言われてましたが、彼女らのお相手や仲の良い男性も、モサかったり冴えない男性で、決して美男ではありません。
男性側に経済力や権力、腕力があるなどを考慮しても、アナはお姫様だから経済力はありますからね。
何だかな〜とモヤモヤして、日本の少女漫画が思い付きました。冴えないモテない女の子がクラスの人気者のイケメンに見初められるという。
こ、これだ〜!日本の漫画すげ〜!と思いましたが、二目と見られないブス、という設定は見たことないですし、そういう設定だと大体レディコミでイケメンに裏切られて復讐みたいな話で終わると思います(笑)
もしかしたら探せばあるのかもしれませんが、誰もが知るほどの有名な作品はないよなと。
日本の古いお話で美女と言えばかぐや姫が思い浮かびますが、かぐや姫は求婚者の男性たちに無理難題(命懸け)をさせて、月に帰っちゃいますからね。優しくはないですね。
しかもかぐや姫は、月で犯罪を犯したから島流し(地球)になったらしいです。犯罪者。
モヤモヤしたものの、結局どれも(ノートルダムはディズニー版)、最終的に美女はハンサムと結ばれて終わりですから、結局釣り合いが取れてるのですよね。
それはそうなのですが、ファントムもビーストもカジモドも、自分の見た目は棚に上げて美女を選んで嘆いているのが何とも。
こんな醜い顔じゃ、誰も愛してくれない!と悲観しているけど、あなたも見た目で女性を選んでいるよね?と。
女性たちはみんな心も清らかで勇敢で、素晴らしい女性たちではあるのですが、美女でなくてもそういう女性はいると思いますし。
まぁ、自分が醜いからこそ美に執着するのかもしれませんが。気持ちは分からなくもないですけどね。
と。長々と美醜についてチクチク言いましたが、普通に感動で泣きました(泣いた)。
ファントムがクリスティーヌにキスされて涙で顔を歪ませるところ。
ファントムが自分のエゴと欲望でクリスティーヌを手に入れようとしたのに、それに対して愛で応えたクリスティーヌ。
クリスティーヌの愛に打ちのめされたのでしょう。
親に愛されず、その上、恐らく見世物小屋に売られた。歪みもしますよね。それでも音楽、芸術の才能があった。
彼の良さを理解しているマダムと結ばれても良かったのでは?と思ったのですが、子供がいるということは、他の男性と結ばれてるわけですね。
夫は出てきていませんでしたが。メグがファントムの子供かと思いましたが、髪色が異なるので違うでしょう。
歌手として初舞台のクリスティーヌが美しくて。雪の精のようでした。調べてみたら、当時の女優さんは17歳頃。大人びてます。
ファントム役の俳優さんは34歳頃です。
もっとおじさんと思ったら結構若かった。クリスティーヌと並ぶと、おじさん感が出て。
そりゃ、倍の年齢ですからね。
ラウルが誘惑されるクリスティーヌに、「この男は君のお父さんじゃない!」といった言葉を言いますが、クリスティーヌは父を求め、ファントムはクリスティーヌに母の愛を求めていて、共依存なんだなと思いました。
クリスティーヌは依存から抜け出し、ラウルと生きる道を選んだ。健全です。やっと親離れできたということですね。
伝えたいこと
本作が伝えたいこと。先述の美女と野獣、ノートルダムの鐘と通ずるところがあると思います。
・人は見た目ではない
・人に対して慈悲の心を持つこと
・勇気を持つこと
・愛は奪うのではなく与えること
・エゴは身を滅ぼす
・美女は美男と結ばれる運命
・親離れして自立しなさい
こんな感じかと思いました。
おわりに
冒頭の廃墟になったオペラ座が、シャンデリアが上っていくと共に世界が色づいてくシーンがすごく好きです。
美女と野獣の魔法が解けたシーンのようです。
壮大なオペラ座の怪人の曲と共に、オペラ座の役者たちが慌ただしく準備をしている様子も素晴らしいです。
観終わったあとは何だか歌いたくなりましたね。
生のオペラを見てみたいと思い、直近のオペラチケットを見てみたらすごく高くて断念しました(涙)
普通に小旅行行けちゃいますよ(汗)
そういえばそうでした、忘れてました。めちゃくちゃリッチな趣味なんですよねオペラって。
知り合いに関係者がいて、いい席でタダで見せて貰えると言っていた人が昔知り合いにいまして、いいなぁと思ったものです。
安いチケットから売れるので、いい席を埋めるためだそうです。
誰か「やぁ、みよく!偶然オペラのチケットが2枚手に入ったんだ。今度の週末、一緒に行かないかい?」と、チケット片手に現れませんかねぇ。
豪華絢爛、いつか生のオペラが見れますように⭐︎
久々にムビチケ買っちゃいました♪
ジョーカーの新作気になります。ヒロインはレディ・ガガです。
追記
光源氏っぽさもあると思いました。光る君とは、メンタルの強さが天と地ほど違いますけどね。
それでも身を引くだけ、厄介メンヘラおじさんでも良いところがあります。
クリスティーヌの手を引いて地下を進んでいるとき、何度も振り返っているのが可愛かったですね。ジェラルド・バトラーの顔がいいから許されます。
クリスティーヌがラウルからの指輪をファントムにあげてしまうの、もののけ姫のアシタカがカヤからの小刀をサンにあげてしまったのを思い出しました。
コメントを書く