人形劇団ひとみ座 創立70周年記念公演『どろろ』前楽 感想ネタバレ

人形劇団ひとみ座 創立70周年記念公演『どろろ』前楽 感想ネタバレ

なぜ、生きる

人形劇団ひとみ座 創立70周年記念公演『どろろ』前楽と前々楽に行ってきました。

ひとみ座の本拠地

会場を間違えててんやわんやしたというしょうもないお話です。

本当は前々楽だけのつもりだったのですが、会場を間違えてしまって1部が観れず、もう一度観ることにしました。

会場は『川崎市アートセンター アルテリオ小劇場』だったのですが、ひとみ座の本拠地にまで行ってしまいました。

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こんな辺鄙なところで公演するの?と思ったのですがバス停を探したりして頑張って行ったら閉まっていて、何で!?と焦りました。

時間ちょうどに着いてしまったので当然、アルテリオには間に合わず。

本拠地にもポスターありました。

井田と井田営業所前というバス停まで行ってしまったのですが、その駅に停まるのかを聞くのに地元のおばさんに話しかけたらマシンガントークに捕まってしまい。

「みんな携帯ばっか見て下見て。足腰悪くするよ!」とか言われました。

確かに猫背やストレートネックになりがちだなと思いましたが

他にも色々言われてちょっと面倒でした。

でも教えてくださってありがとうございました。

ひとみ座の近くには蟹ヶ谷という古墳があります。

蟹。

移動に1時間はかかるのでもう諦めて帰ろうかと思ったのですが、行くだけ行こうと思って行ったところちょうど幕間で、きりよく後半から観ることが出来ました。

後半から多宝丸が登場してきてテンション上がりました。

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とても素晴らしかったので前半も見なければ勿体無いと思ったのですがあとは当日券しかなく、ダメ元でひとみ座さんに聞いてみたところ、前売りのお値段で取置きをして下さいました。

心より感謝します。

最初の席はかなり前の方でとてもいい席をご用意してくださっていました。勿体ないことをしました。

だけど2回見て気付いたこともあったので見れて良かったです。

桜も見れたり。住吉ざくら。


桜のラテと桜のケーキ。

きよしのコンサートで浜町と浜松町を間違えた以上の痛恨のミスでした。

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人形劇団ひとみ座とは

皆さんは『ひょっこりひょうたん島』というNHKで放送されていた人形劇をご存知でしょうか。

有名な人形劇です。私も詳しくは知らないのですが映像を見たことはあります。

なんせ60年代の番組なので知らなくても不思議はありません。

歌が有名ですね。モーニング娘。がカバーしています。2017年の紅白歌合戦ではAKB、乃木坂、欅坂のメンバーが歌っていました。

ひとみ座はそのひょっこりひょうたん島を手掛けた劇団です。

その他にも幅広い活動をされている歴史ある劇団で、今回の公演は創立70周年記念公演のひとつでした。

感想

感想に入ります。

この舞台のベースは原作と昭和アニメと他の手塚作品で構成されていました。

そしてひょっこりひょうたん島のように人間が登場せずに手や足に棒がついていて、というのを想像していたらそんなことはなく、人間が顔が見える状態で黒子として人形をしっかり持って演じていて、人間も顔上半分に能面のような面をして演じていました。

写真左のほっかむりをしている百姓です。
それによりかなりの迫力が出ていて、人形劇とは思えない臨場感がありました。

第1部

2部構成でした。それぞれ流れを説明しつつ書いていきます。

忘れているところや順番が前後していたりするかもしれません。

百鬼丸の生い立ちとどろろの出会い

オープニングは民衆の足踏みから始まり、広げられた白旗に『どろろ』の文字がありました。

そして醍醐景光の契約の場面へ。

そこでは鬼神ではなく妖狐が登場して嗾して(そそのかして)いました。

妖狐の妖気が暗闇の中で光っていて綺麗でした。渦巻のライトでした。このライトは何度か登場します。

百鬼丸の幼い頃は原作や昭和アニメの通りの見た目でした。

寿海に拾われ、生活する二人。

まだ1歳ほどだというのに手術をして少年の体を手に入れた百鬼丸。

オペの時に寿海の顔にブラックジャックの絵を当てていて会場でウケてました。

ここは他の作品になかった描写なのですが、百鬼丸が村人に陰口を叩かれて落ち込んでいました。

寿海は「お前は人間だ。人と違って何が悪い」と慰めます。

百鬼丸は醍醐景光が自分を妖狐に売ったというビジョンを見て、自ら妖怪退治の旅に出ます。

この時、妖狐の1匹を斧で倒していました。原作と昭和アニメでは女の姿に化けた妖怪ですね。

寿海はそれを危険だからと止めました。しかし百鬼丸の熱意に押され、大人の体にするために二度目の手術をしました。

そこでもブラックジャック先生登場です(笑)

ここも他の作品と異なりますね。

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中の人もかっこいい百鬼丸でした。

声がアムロ・レイぽかったです。殴ったね!

どろろはさつま芋を盗んで追いかけられていましたが、逃げ切って食べ終わったところで、餓し寸前のお坊さんに食べ物を恵んでくれと言われ、自分で何とかするんだよ!と怒りながらもおにぎりを持ってきてあげました。

しかし間に合わず、お坊さんは事切れていました。

昭和アニメどろろ第1話の名シーンであり、現在連載中の『どろろと百鬼丸伝』でも再現されています。

人形劇を見て泣いてしまいました。この名シーンも入れてくれるとは流石です。

劇では分かりませんでしたが、アニメと伝ではどろろは泣き笑いしています。

自分がひもじい中で命がけでお坊さんのためにおにぎりを取ってきたのに間に合わなかった。

貴重なおにぎりが転がっていくのに目もくれず悲しむどろろは本当に心根の優しい子です。

平成アニメと2.5舞台どろろでもあったどろろが捕まり、橋でどろろと百鬼丸が出会うシーン。

話が分かりづらくなりますので、2.5舞台どろろを舞台どろろ、人形劇どろろを人形劇と呼ぶことにします。

妖怪がおどろおどろしく、百鬼丸が斬るとすっぱりと綺麗に斬れたところに感嘆しました。

舞台どろろとはまた違った表現。どちらも良かったです。

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マイマイオンバの登場

蛾の妖怪が人間の女に化けて鯖目という男に取り入り、子を産み、人間を食べていました。

妖怪は子供を捨てに来た両親に怒っていたどろろたちの元へやってきて、家へ来なさいと招待しました。

マイマイオンバには人間の名前がつけられていました。

雛百合という名前です。初めて聞きました。鯖目にも下の名前があり、義時と言います。

雛百合と鯖目のラブシーンが生々しかったです。「もっと鯖目様の子が産みたい」と雛百合が迫り、羽根を広げていました。

子を捨てようとしていた夫婦とどろろはマイマイオンバの子供たちに襲われますが、その前にどろろが出会っていた大きな子供の妖怪オンブーが散らばって助けてくれました。

オンブーは亡くなった子供たちの魂が集まって大きくなった妖怪です。

慈照尼(じしょうに)という尼さんの元で暮らしていましたが、マイマイオンバの秘密を知ったことにより尼さんと共に寺ごと焼きころされてしまいました。

慈照尼も登場したのですが顔が真っ黒で怖かったです。

マイマイオンバの顔も般若のようで恐ろしかったです。羽根も大きくて。

幼虫が糸を吐き出したり、マイマイオンバが消えた瞬間に紙吹雪が舞うなど細かい演出がありました。

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マイマイオンバを倒すことは出来ましたがどろろが毒にやられ、発熱します。

村人たちに「水をくれ、休ませてくれ」と頼む百鬼丸でしたが村人たちは冷たく当たり、誰も二人を助けませんでした。

恩を仇で返すとはまさにこのことですね。

うなされながら「お父ちゃん、お母ちゃん」とうわ言を言うどろろの心を百鬼丸が覗きます。

昭和アニメでは万代との戦いの後に熱中症でどろろが倒れています。

どろろの過去

どろろの父、火袋と母お自夜は野盗として生きていました。

どろろはまだ赤ん坊です。

部下であるイタチの裏切りにより、どろろ一家は路頭に迷います。

どろろの可愛さに免じてイタチは火袋とお自夜の命は奪わず、火袋の足だけを刀で刺して不自由にしました。

お姫様からのまんじゅうの恵みを貰おうとしたどろろに貰ってはいけないと火袋が怒り、侍と喧嘩になって火袋は命を落としました。

槍で刺されてしまうのですが、胸から槍が突き出していて痛々しかったです。

その後、二人きりになってしまったどろろとお自夜は吹雪の中で身を寄せ合いますがお自夜は亡くなってしまいました。

泣きながら縋るどろろが可哀想でつらかったです。

確か過去を覗いている中で百鬼丸はどろろを女の子だと知ったと思います。

百鬼丸が寿海から貰った解毒剤を与えたお陰かどろろは復活します。

その後、第1部の幕が下りました。

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第2部

後半からはばんもんが舞台上に姿を現しました。

多宝丸の登場

琵琶法師の語りの後、ばんもんに多宝丸が登場しました。

多宝丸はスイカかメロンのような色の服装してました。

昭和アニメのパイロット版と似た色の服でした。

羽織は金色で着物は外側が黄緑色で、内側がギザギザ模様で赤い色をしていました。

内側が赤いのでそれが刀に反射し、まるで血のように見えました。

多宝丸はばんもんを超えようとした村人を部下に命じてころしてしまいます。

血も涙もない暴君です。

百鬼丸と出会い、戦いを挑みます。

これは人形劇オリジナルなのですが、百鬼丸と多宝丸の母、千代(縫の方)が百鬼丸が可哀想だからとせめて名付けて欲しいと景光に懇願して景光が百鬼丸と名付けました。

なので百鬼丸をどろろが呼んだだけで自分の息子なのだと景光は分かりました。

景光が止めるのも聞かず、一度は引いたものの再会した際にまた百鬼丸に戦いを挑んだ多宝丸は命を落としました。

戦いたくない百鬼丸の片腕を無理やり取り去ってまで戦っていました。

再会した際には二刀流で登場していました。百鬼丸の真似かと思いました。

妖狐から景光は父であり、多宝丸は弟であると聞かされていた百鬼丸は亡くなる寸前の多宝丸に「俺はお前の兄なんだよ」と伝えましたが、多宝丸は「俺の兄だと?馬鹿を言うな、化け物め」と吐き捨てて事切れました。

この悪態をついてから亡くなるのは昭和アニメ由来ですね。原作ではニヤッと笑って何も言わずに旅立ちます。

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妖狐とのシーンでまたあの光る渦巻がゆらゆらと揺らめいていたのですがそれが綺麗で、田舎の夜を思い出してノスタルジックな気分になりました。

多宝丸の口がむにっとなっていて可愛かったです。

あと亡くなった多宝丸を百鬼丸がお姫様抱っこをして運ぶのですが、多宝丸の足袋を履いたあんよが可愛くて。

「ノライヌめ!」という口の悪い名言も出ていましたけれど。

それでも百鬼丸にとってはたった一人の弟であり、心から悲しんでいました。

その後、百鬼丸と再会した景光は多宝丸の仇を討とうと百鬼丸に刃を向けました。

妖馬ミドロの登場

今回の公演で衝撃だったのはミドロの話でした。

間への恨みから妖怪となってしまったミドロには子供がいて、どろろとその仔馬は仲良くなりました。

しかし、最終的にどろろがミドロに刀を突き立てて止めを刺しました。

原作と昭和アニメでは百鬼丸が止めを刺すので、どろろに命を奪わせたことに衝撃を受けました。

百鬼丸を助けるためでした。

この前に百鬼丸とどろろは一度お別れをしていました。

どろろの為を思った百鬼丸がもう一緒にいたくないと別れを切り出し、どろろが欲しがっていた刀を渡してさよならをしていたのです。

仔馬について行ったどろろが百鬼丸と再会し、苦戦していた百鬼丸を助けるため、その刀を使ってミドロを刺したわけです。

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百鬼丸とどろろの別れ

百鬼丸とどろろの別れのシーンも泣いてしまいました。

ついてくるなと言う百鬼丸に「アニキについていってるんじゃない、刀が欲しいだけだ!」とどろろは強がります。

どろろは離れたくないのに百鬼丸は刀を地面に置いて「刀ならやる。ほれ!ほれ!!」と怒ったように言い、悲しむどろろがつらくて泣けました。

でもどろろが「バカー!!!」と言って去っていくのが可愛かったです。

助六は友達でアニキは仲間

助六も登場していました。

どろろと助六は仲良くなり、友達になります。しかし助六もばんもんで命を落とします。

亡くなる直前に「俺たちは友達だぜ」とどろろに言って。

助六とどろろの関係好きでした。舞台どろろも良かったです。

どろろ曰く、助六と仔馬は友達で、百鬼丸は仲間なんだそうです。

目が覚めた景光

妖狐を百鬼丸が倒したことにより、景光は解き放たれ、悪行から目が覚めました。

額のバッテンと目の周りの赤がなくなりました。

最初の契約のシーンではバッテンがなかったですし、きちんと顔を変えていました。

ラストシーン

どろろが百姓たちを焚きつけたことにより一揆が起こりました。

百鬼丸は景光と千代に逃げるよう言いました。「達者で」と千代が言い「行こう」と景光が言って去っていきました。

そしてどろろと大勢の百姓たちと合流した百鬼丸は戦場へ雄たけびを上げて走っていきました。

ここで物語は終わりです。

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暗転して再び明かりが点いた後、そのままキャストたちが面を脱いで昭和アニメの名曲『どろろの歌』を歌い始めました。

どろろのソロではちゃんとどろろがソロで歌っていました。
「青く果てない空の下 いばらの道を踏み越えて これも世の為 人の為」

観客は手拍子をしました。

「とぼけちゃいけねぇ 知ってるぜぇ!」

どろろの歌大好きなので感動しました。大勢が歌うどろろの歌。最高でした。

前楽のカテコでは支配人のような方が登場し、挨拶をされてました。

話によると衣裳から道具まで全てひとみ座で準備して大変だったと言っていました。

あんなに凝った小道具から何からをすべてとはすごいです。

他見どころ

良かったなと思ったところを挙げていきます。

・百鬼丸の生身の足に擦り寄るどろろの可愛さ。

・妖狐の迫力。舞台いっぱいに布が広がる光景は圧巻。

・一揆の前に琵琶法師が語りながら弓矢を掴んだところがかっこよかった。

・琵琶法師のバックにある石碑は*庚申塔(こうしんとう)

*中国から伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石碑

・どろろのひょうきんさが笑える。
百鬼丸がばんもんに残ると言った時に「おいらがいなくて大丈夫か?」と聞いた後に「反って邪魔だとよ!行こうぜ助六ぅ」と拗ねていたところの声が好きでした。

・ひょうたんツギが度々でてくる

・景光たちが去った後にスパイダーもでてきて「おむかえでごんす」と言ってくる

演じている役者の表情が豊かで人形がいなくても演技が成り立つと思った。それに声がよく通っていて聞こえやすかった。

・アニキが大きくなってからの心の声は敢えてなのか聞き取りづらく、何か言う度にどろろが解説のような発言をしていた。練られた演出だと思った。

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グッズ

色々売ってました。Tシャツがいいなと思いました。

ぶた なりきりセットが気になります。

ひとみ座劇人形展

下の階で人形展をやっていました。

ひょうたんツギ風の百鬼丸とどろろ。

左がひょっこりひょうたん島のメンバーです。

ズッコケ三人組もいました。

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どろろ役の松本美里さん

前々楽で会場外に出てきてました。

最後に

最後になりましたが、ひとみ座さん創立70周年おめでとうございます

素晴らしい作品をありがとうございました。

正直なところ、人形だしと侮っていました。

ここまで感嘆し、感動するとは思いませんでした。

ライビュをやって欲しかったくらいです。

見れなかった人の為にもぜひDVD化して欲しいなと思いました。

舞台どろろに勝るとも劣らない迫力とストーリーで引き込まれました。

今後も末永くご活躍されることを祈っております(*^ω^*)

新元号が令和(れいわ)に決まりましたね。

ローマ字表記は『R』です。

新元号は決まりましたが平成はまだ続きます!

今月いっぱいは平成アニメどろろとして感想をお送りします。

2019年1月26日に届いたチラシです。チラシを見た瞬間から絶対面白いと確信していました。


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