漫画『わたしは真悟』感想ネタバレ 最終回結末です。
展覧会の後、予約して全巻購入していたのですが、少しずつ読んでいて記事が遅くなりました。
概要
作者 楳図かずお
発表年 1982年〜1986年
楳図パーフェクション
初版 2010年
第2刷 2022年 発行
あらすじ
小学6年生の近藤悟(さとる)と山本真鈴(まりん)が恋に落ちた。
きっかけは悟の一目惚れ。
2人の子供を作るため、東京タワーに登る計画をした。
そして、ヘリコプターに飛び移ったことで奇跡が生まれ、2人の子供である真悟が誕生した。
真悟はコンピュータに宿った精神。
マリンは父親の仕事でイギリスへ。真悟は父が仕事をクビになり、母が新潟のバーで働くということで、引っ越した。
マリンはイギリスでロビンという15歳の少年に迫られ、ショックで記憶を失ってしまった。
イギリスは日本を疎む人々で溢れ、マリンの家族や日本人たち、日本製品を扱う人々は危険に晒された。
真悟は機械の体のまま、サトルとマリンを求め、彷徨っていた。それを機械を作った技術者が、壊すために追いかけていた。
真悟はマリンを求めて世界中を意識で探し回った。
マリンはロビンに連れ回され、エルサレムで結婚の誓いをさせられそうになった。
マリンは拒み、サトルとの結婚を祈ったが、ロビンを消すために放った真悟の攻撃が、マリンにぶつかりそうに。
真悟は強く願い、子供の姿になってマリンを守り、ロビンに攻撃が当たった。
一方、サトルは新潟で荒んだ生活をしていた。父は無職のまま、母は派手に着飾り、男に媚を売って生活をしていた。
サトルは両親を救うため、大金を稼ぐために佐渡島に向かった。
佐渡島で人体実験が始まり、何とか船で港に戻ったサトルは力尽きる寸前のシンゴに出会った。
最後の力を振り絞り、シンゴは「アイ」と書き残した。
シンゴの機械を作った技術者たちは、「これに知性はない、だがシンゴがどこかにいるような気がする」と言った。
感想
1巻はあまり面白く感じなかったのですが、2巻の途中から面白くなってきました。
そして、グロテスクさが増してきて、こんなにグロいと思わなくて怖かったです。
2巻の東京タワーにサトルとマリンが登るシーンは圧巻でした。風で揺れる東京タワー。
朝で景色が見えると、怖くて登れなくなってしまうというのがリアルで、高所を想像して読んでいて怖くなりました。
3巻での、イギリスで真鈴がロビンに無理やりキスを迫られ、倒れて記憶喪失になってしまうという衝撃のワンシーン。
白人の15歳ってとてもかっこいい年頃だと思うのですが、漫画の中のイギリス人が物凄く気持ち悪くて。会ったばかりの12歳の子に迫るというのが。ロリコンというやつですね。
医者に、キスしただけで記憶喪失はあり得ますか?と聞いて、そんなことはあり得ない!と言われてホッとしてるのも最高に気持ち悪かったです。
しかもシェルターに閉じ込めて、マリンを襲って、幻覚を見せる注射までして。異常です。
4巻では真悟の名前の由来が、真鈴の真と悟から一文字ずつ取ったものだと分かりました。
シンゴという名前はたくさんパターンがあって覚えづらかったのですが、これでしっかり覚えられました。
大人だけでなく、子供が容赦なく亡くなるのが悲惨でした。しかもそのしに顔をアップで一コマに収めてて恐怖しました。何度もアップするんですよ。もうやめて!と思いつつジッと見てしまいました。
前にも、シンゴが少女の顔の皮を引きちぎるシーンがあって戦慄しましたが。
何となくラブロマンスだとかを想像していたんですが、確かにラブロマンスではありますがそれ以上に怖かったり気味の悪いシーンが多くてときめきどころじゃなかったです(笑)
子供が車を運転して人を撥ねて、その子供は事故で亡くなり、他の子供が警察から隠れるために海に潜ったのをシンゴが手助けして潜らせたままにして溺しさせ、生き返らせようと子供を地面に何度も叩きつけるという地獄の流れがありました。
これはかなりショックなシーンで、子供の頃に読んでしまっていたらトラウマだったろうなと思いました。
時代を感じたのが、「パスワード」に注釈が入っていたことでした。
パスワードは今や誰もが説明もなく分かる単語だと思いますが、作中では詳細に説明されていました。
最終巻の6巻では、シンゴの友達が亡くなったと思っていたのに、異形の姿で生きていて、美しく生まれ変わったことが衝撃でした。
そして、最後までサトルにマリンの気持ちは伝わらなかったのが悲しかったです。
サトルの両親はどうなるのか、マリンはエルサレムに1人残されたまま。
再会して、幸せに生きて欲しかったです。
世界の終わりが何度も強調されていて、戦争は良くない、愛が大切ということを訴えた作品なのかと思いました。
かなり難解な作品でした。
おわりに
扉絵ごとに少年少女のイラストがあるのが引き込まれました。少年少女の数だけ物語があるのだなと。
楳図かずお大美術展で見たのは、世界が終わった後なのかなと思いました。
また見たくなりました。9月17日から、大阪で開催予定です。
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