楳図かずお漫画『ねがい』感想ネタバレ

楳図かずお漫画『ねがい』感想ネタバレ

楳図かずお漫画『ねがい』感想ネタバレです。

Advertisement

わたしは真悟よりも前に購入して読み終わってました。楳図パーフェクションで、本作は短編集です。

最初の1話目がねがいというタイトルです。

各話あらすじと感想

ねがい

小学生の少年、(ひとし)は、手作りのロボットの友達、モクメを作った。その見た目は悍ましく、顔は針金で縫われ、歯は釘でできていた。
等はモクメが人間のように動くよう、宇宙に毎日ねがいをかけた。

やがて等にガールフレンドができ、等はモクメが不要になり、捨てた。
両親が不在の日、モクメが等に復讐をしにやってきた。
等は椅子でモクメを壊した。

感想
泣きながら、等がお前のこと好きだったんだよ、本当だよとモクメ壊すのが切なかったです。お前がいると他の人と友達になれないのだと。

黙って置いとけばいいじゃないと思いましたが、仲の良い男友達の家に行ったら、気持ちの悪い人サイズの手作り人形がいたら、まあドン引きしてしまいますね。無理ですね。

小学生なのに「のだっ!!」という言葉遣いが好きなのだ。

Advertisement

DEATH MAKE

中学生の男女数人が、マスクを作った。それは呪われ、念を持ち、少年少女たちを襲ってきた。
少女が仲間の少年たちから生贄として差し出されたが、少女は腕が折れながらも反撃。

少女が倒れている間に、少年たちは襲われてしまった。
少女が目が覚めると屋上で、少年少女は無傷だった。
少女の腕の周りをハエが飛んでいたため、人差し指で潰そうとしたところ、自分の腕に指が食い込み、少女は驚愕した。

感想
ジョジョの石仮面みたいでした。
最後、ハエ潰したのかなと思いましたが、腕に指が刺さってしまったようです。
体が呪われてしまったのか?謎な終わり方でした。

少女腕がボッキリもげるほど折れてるのに、怪物に目潰しするの強すぎますし、ぼくがついてるだろと言っていた立川くんが迷わず少女を生贄に差し出す最低だなと思いました。

Advertisement

絶食

ぽっちゃりの女子高生、知子は、付き合っていた彼氏、あきら太った女が好みの男なんているかバカ!と振られてしまう。

知子はダイエットを必死で行い、ついに痩せて美人になった。
あきらに会いに行き、友達になってくれる?と聞いてキスをした。あきらは知子だと分かっていない。
知子は喜んだが、抑えていた食欲が湧き上がり、あきらを食べてしまった

感想
痩せただけでまつ毛バシバシになったのは笑いました。
ぽっちゃりの頃の知子がすごくリアルで、こういう感じの子いると思いました。普通に可愛いです。
ちょっと付き合ってやったらすぐ恋人気取り発言のあきら最低です。ちょっとも何も付き合ったのなら恋人です。

性欲と食欲は関係性が強いと言いますし、恋が叶った瞬間に食べたくなっちゃったんですね。

Advertisement

Rôjin

穴に落っこちた老人を5歳の少年、まなぶが見つけた。
老人はまなぶに助けを求めるが、少年は見たこともない生物だと、恐れてなかなか助けようとしない。それどころか閉じ込め、石を投げつけた。

老人は、昔住んでいたところが懐かしくてやってきて、穴に落ちてしまったと話した。まなぶにはロウジンという言葉が理解できない。
夕方になり、まなぶは帰ろうとしたが、穴にタバコを落としてしまった。老人に、返してくれと懇願した。

まなぶが言うには、人はみな20歳でしぬ
うなぎ屋の後継であるまなぶは、父がもう20歳で年寄りだから、うなぎを捌けるようにならなければならないのだが、いつも失敗し、怖くてできない。

落としてしまったタバコを返す代わりに、70年使った指をうなぎだと思って裂いてくれ、そうしたら若返ると思うと老人はまなぶに頼んだ。
穴から助けられた老人は、指を差し出すが、まなぶには出来なかった。まなぶはうなぎ屋ではなく、パイロットになりたいと話した。19歳になったら3ヶ月も飛べる、子供たちに見せるためにも、お父さんより早く結婚するんだと。

老人は去っていった。まなぶは、ロウジンが70年生きていたこと、昔は子供は遊んでばかりいたと聞いて、ぼくもロウジンと呼ばれたい!と叫んだ。

感想
ねがいの作品の中で一番好きなストーリーです。
たった20歳で命が終わってしまう世界。老人は70歳にしては老けすぎだと思いました。見た目80歳以上に見えました。
70歳なら、昔と言ってもそんな昔ではないですし、わずか50年ほどで世界が何らかによって激変してしまったということで、そのミステリアスな世界観も好きです。

まなぶの母が若々しくて美しいと評判と言っていましたが、そりゃあ20歳くらいだったら若々しいわと思いました。まなぶには2歳の妹がいて、まだ手がかかると言っていましたが、5歳だってまだまだ手がかかるよと思います。

うなぎを捌くのが恐ろしくて、お守りとしてタバコが手放せない5歳。悲しすぎます。頑張ってパイロットになっても、3ヶ月しか飛べず。こんな世界を見ると、70年もあったら何でもできる気がしてしまいます。

Advertisement

プレゼント

恋人の良介優子は、クリスマスに仲間たちと集まった。優子が良介に向けた手紙には、私のプレゼントはこの私ですとあった。
それを見た仲間たちが優子を強引にホテルに連れて行った。そこの受付はサンタクロースだった。

男女が部屋で抱き合っていると、突然ドアからチェーンが飛び出し、男女を襲った。仲間の男の一人は、腕を取られた。
チェーンを持っていたのは、サンタクロースだった。
サンタクロースは、クリスマスを汚し続けたお前らへの復讐だと叫び、次々とチェーンを投げつけた。

仲間が次々とやられる中、一人逃げる優子。気がつくと、それは夢だった。
優子は、良介か他の男に手紙を書いている途中だった。冷蔵庫を開けると、友人のエリたちの手足が出てきた。その時電話がかかってきて、それはエリだった。

サンタクロースに襲われる夢をみんなが見て、優子だけが後ろから頭をえぐられたが、気がつかなかった。でも、優子はいつもあの手で、男を手玉に取っているから仕方ないわよねとエリは話した。

優子が鏡を見ると、後頭部が腐り始めていた

感想
リア充大嫌いサンタクロースという感じで面白いのでこのお話も好きです(笑)
優子は清純で無理やりホテルに連れて行かれたのかと思いきや、首謀者だったとは。いつも手伝いをさせられているエリたちは随分お人好しだと思います。

Advertisement

小学生の田代敬一は友人たちと一緒に、大蛇に餌を与えに行った。
友人たちは、蛇は田代くんの方を見ていたという。後日、ニュースでその大蛇が逃げ出したと放送された。
敬一の父は、一駅も離れているから大丈夫だよと言った。大蛇が見つからないまま、夏休みに入った。

ある時、敬一の父が、再婚相手の葉山かおりを九州まで迎えに行くことになった。
敬一の母は、敬一を産んですぐに亡くなっていた。
家に敬一が一人でいると、葉山かおりが一人で訪ねてきた

葉山は、敬一に生肉を買いに行かせて食べたり、飼っていた鳥のチッチを丸呑みしてしまった。
敬一は葉山から逃げるため、家中を釘で打ち付け、閉じ込めようとしたが、葉山は蛇に姿を変え、隙間から抜け出し、敬一を追った。

逃げた先で、父親の車が来て、蛇を跳ねた。蛇は去っていた。車から父が出て来て、新しい母を紹介してきたが、蛇だった女と同じ顔をしていた。

感想
最後の義母の顔のアップが怖いです。顔に蛇の柄が入っています。
蛇ではないと思いますが、敬一からしたらトラウマで、好きになれないですよね。
小鳥のチッチが可哀想でした。

Advertisement

理美が父と祖母の家に着くと、祖母は亡くなっていた
家には祖母の棺があった。そして、その上に鎌が置いてあった。

近くで山が崩れ、若者がいない村で、父が手伝いに行かされることになった。一人、棺と共に残された理美。村の者から、その鎌は魔除けだから決して動かしてはいけないと言われた。
しかし、ムカデが顔に落ちてきた驚きでよろめいた理美は、鎌を落としてしまった。
祖母が棺から出てきて、理美を襲った。理美は祖母の額に鎌を刺した。

父たちが帰ると、棺に鎌が刺されていて、中からたすけてとうめき声が上がった。
村の者たちは早く火葬にしようと棺を担ぎ出した。
父は理美を背負って、ニ度とここへは来ない、東京へ戻ろうと駅へ向かった。

駅で父の姿を見た人々が叫び声を上げた。父が背負っていたのは祖母だった。
身代わりになった理美は棺の中で額に鎌が刺さったまま、火葬炉の中へと入れられて行った。

感想
理美可哀想です。孫を喜ぶどころか、小汚い小娘と言って、ひどい祖母です。
愚痴ひとつ言わない、いい人だったと村人たちに言われていましたが、本当は息子が帰ってこないことを恨んでいたのが辛いです。

息子だって自分の人生を生きたいのは当然ですが、祖母の淋しく辛い気持ちもわからなくもないし、何とも言えない気持ちになります。

最後のコマの直後に突然KAZZが出てきて面白かったです。楳図先生はサンフランシスコの家で、元気な老人を見てこの話を思いついたんだそうです。

Advertisement

おわりに

KAZZはやはり天才です。目の付け所が違います。楳図作品は(ま)が怖いんですよね。キャラクターのアップの時、音が聞こえなくなるような。色々想像してしまいます。キャラクターの心情など。

まだまだ読んでいない作品がたくさんあるので、これからも少しずつ読んでいきたいです。


Advertisement


コミックカテゴリの最新記事