実写映画『どろろ』ノベライズ 小説 上巻 感想ネタバレ

実写映画『どろろ』ノベライズ 小説 上巻 感想ネタバレ

実写映画『どろろ』ノベライズ 小説 上巻
感想ネタバレです。

1月に購入したのに読むのがだいぶ遅くなってしまいました。

難しい漢字がでてきますが読みやすくて、ゆっくり読んでも数日で読み終えられるボリュームでした。

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実写の映像が眼に浮かびました。ですが実写版よりもストーリーが重厚で、心理描写も豊かでした。

どろろ〈上〉 (朝日文庫)

これまでの鳥海版辻版と同じくストーリーのポイントや、ここ良いなと思ったところを箇条書きにして、感想を添えてお送りします。
☆=感想

ノベライズなので映画の記事と被る部分もあります。

百鬼丸の幼少期

・百鬼丸の念をお父ちゃんと受け取る寿海。

・寿海はボウズと呼ぶ。後に倅(せがれ)と呼ぶようになる。

・百鬼丸の体の作り方が細かく書かれている。

・琵琶法師が『百鬼丸』という刀を手にしている。
豪農(ごうのう:財力のある農家)から譲り受ける。

・寿海「儂は…鬼とならねばならぬか」
寿海が琵琶法師から事の経緯を聞いている中で、こう思ってた。

右腕に小刀、左腕に百鬼丸
小刀は百鬼丸と共に流された刀。

・寿海は還暦過ぎの独身。

・百鬼丸に剣術と狩りを教える。
相手の感じているものを直に察するため、狩りを嫌がる百鬼丸。

・寿海は痛みを感じさせるため、百鬼丸の刀で自らの腕を刺す。

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百鬼丸の旅立ち

・やがて百鬼丸は年齢不詳の美しい青年に。

・寿海は喀血(かっけつ)し、この世を去った。
亡くなる前に百鬼丸に上等な布で作られた服を贈る。
寿海が縫った服で、百鬼丸が流された時に彼を包んでいた布

・寿海の秘術を世界に知られないために家を燃やせと言われる。

・燃え上がる家の前でうずくまる百鬼丸。

・どろろが話しかけると女と見破る。
否定してさらしで巻いた胸を見せつけるどろろ。

・初雪が降る中で百鬼丸とどろろの名前が決まる。
南の国では人の姿をした得体の知れないものをどろろと呼ぶ

どろろの目を通して景色を見る

慈照尼(じしょうに)に惚れる鯖目
背中にある瘤(こぶ)により孤独に行きていた鯖目に笑いかけた慈照尼に惚れた。
そして慈照尼に化けたマイマイオンバと契約。

☆慈照尼と子供達が天へ登っていく場面で泣きそうになりました。

・村人が百鬼丸を恐れ、棍棒で後頭部を殴ったのを見てどろろに真っ白な灼熱が沸き上がる。

狂気の桜を思い出しました。

・どろろが百鬼丸と同じように魔物に怒り、倒した時には喜んで見せることで、百鬼丸の心が昏い(くらい)恨みから解き放たれていく。

・どろろが百鬼丸に季節感を取り戻させた。

舞台どろろを思い出しました。

・薬効に詳しいどろろ。
季節の食べ物を百鬼丸に与えた。
味覚がわからないのにどろろが「夏といえば瓜」と言うとそれを楽しみにする百鬼丸。

鳥海版での袖箭(ちゅうせん)で戦うどろろだとか、今回の薬効に詳しいどろろだとか、何かしらの能力があるどろろが好きです。

・桜や大粒の雨、初夏の木漏れ日、遥かな虹。

☆自然描写がとても美しく、この小説の魅力の一つです。

・どろろを弟のように思っていたけれどやがてどろろに玉姫様が来てしまう。

それに気付いた百鬼丸は「あれで女か」と笑う。

・生き残っていたマイマイオンバと鯖目の子慈照尼の姿で蘇る。

澪と百鬼丸

・百鬼丸は行き倒れたところを(みお)に助けられる。
澪は百鬼丸より少し年上で頭が弱く、言葉を短く切って話し、笑い声も僅かに粗野。

☆漫画や昭和アニメの澪は美しく賢い印象でした。
平成アニメのミオが少し田舎っぺぽかったのはこの小説からかなと思いました。

・澪が美しすぎて天女だと思い、恋に落ちた百鬼丸。寿海が恋を教えなかった為に百鬼丸はその想いを怖がった。
けれど澪が近くに来てくれることを望んでいた。

・澪たちの住まいは寺ではなく元炭焼き小屋

・子供たちは澪をお母ちゃんと呼んでいる。

・澪の仕事は複数人の男に身を売っている。

☆複数人相手にというのも平成アニメを思い出しました。

・子供たちが何も知らないで生きているのを「ガキというのは何かを知らないで生きていることを言うのだ、俺はガキだ」と百鬼丸は思う。

・澪が自分の仕事を百鬼丸に悟られたと分かった時、心の蓋が開いて百鬼丸に仕事の映像がダイレクトに見えてしまう。

鳥海小説平成アニメではどろろがその場面を目にしてしまいますが、百鬼丸が直接見るのは今作だけだと思います。

「汚れている」と言う澪に百鬼丸は「汚れていない、今まで見た中で間違いなく一等綺麗だ」と思います。

☆すごいと思ったのが百鬼丸が「澪が己を汚れていると言わないのなら、何の仕事をしていてもいい」と思ったところで、澪を最大限に尊重していると思いました。

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「俺が狩りをするからもうよせ」と思う百鬼丸。
狐よりも素早く仔兎を狩った百鬼丸。
しかし醍醐を恨む落ち武者に偶然出会ってしまった澪たちは命を奪われた

・斬られても傷がふさがる百鬼丸。

・澪が亡くなった悲しみを紛らわせる為に厳しい鍛錬を積んでいった百鬼丸。

・魔物を倒すことに自分を蔑む里人(さとびと)や、戦への憎悪も重ねる。

・日毎孤独に苛まれる中で雪雷(ゆきがみなり)の晩にどろろと出会った。

・どろろは澪との話を聞いて嫉妬したが女であることを認めていない為にその心も認めなかった

どろろと野盗

・火袋とお自夜、鼬(いたち)が登場。

・鼬が火袋を野盗に誘った。

・明るいどろろに一行は癒された。

・醍醐景光の隊列に恨みで斬りかかって行った者たちは、火袋と鼬以外斬りころされ、火袋は助けに行ったが鼬は逃げた。

・火袋は兵たちから槍や矢を受け、全身を赤く染めながら景光に挑むが景光から腕を斬られ、喉を刺されて帰らぬ人に。

・一行は女子供だけになり、赤子もろとも自がいする者や自ら女郎屋に行く者などがいて、最後にはどろろとお自夜だけになった。

「いつか本当の男に出会ってどうしても女になりてえと思うまではお前は男だ、泣いてはいけない」
そう言ってお自夜は力尽きて亡くなる。

・百鬼丸は醍醐景光が自分の父だと気付く。

一方でどろろは恨みから醍醐一族全てを討ち取ると決意する。

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