ヴィスコンティのスター群像 シネアルバム87 ビョルン・アンドレセン 感想です。
ビョルンのことを書いているブロガーさんがおすすめしていたので購入しました。
ひとまずビョルンのところだけ読みました。
一番最後にありました。
本書の概要
1982年2月25日発行
芳賀書店 A5判
シネアルバムシリーズ87冊目
スターのすべてをこめた写真叢書。
第一冊目はマリリン・モンロー。
抜粋・要約
ビョルンは純愛日記という映画が初めてのスクリーンデビューで、端役として出ました。
純愛日記も日本で上映され、ヒットしました。
そして翌年、ベニスに死すで世界的に有名となります。
ヴィスコンティ監督はタジオを選ぶのに、数千人をリストアップし、最終的にビョルンに決定しました。
その模様をイタリア国営テレビの依頼で、50分の特別番組「タジオを求めて」として監督しました。
ビョルンは「監督は怖くなかったけれど、演技についてはすごく厳しく、何回も演技のやり直しをさせられた」と語っています。
また、映画のキャンペーンで来日した際には、「どこへ行っても美少年だと言われて少し閉口しているんです。そんな目で見られるのがとてもイヤですね」と言っています。
ビョルンはその後、映画出演せず、学園生活に復帰し、音楽活動をしていたということでしたが、その後の消息はつかめていません。
感想
上が写真で下半分が文字の、3ページ程度のすぐ読み終わってしまうものでした。
最後の「消息はつかめていない。」という文字が悲しいです。
今であれば、簡単にあの人は今という感じの番組で、探せそうですけどね。
ですが美少年と言われ続けることに疲れ、映画出演も断っていたということなので、探されても迷惑だったでしょう。
先日観た、「世界で一番美しい少年」で、元気に過ごしていることが分かって安心しました。
メモに髪=ブロンドと書いてあって面白いです。見れば分かりますが(笑)
それと、語学に驚きました。
スウェーデン語、英語、フランス語、イタリア語とありました。こんなに話せたんですね。
スポーツにアイスホッケーとあったことも意外でした。アクティブですね。
ベニスに死すは、映画をもう一度見直したいのもありますが、トーマス・マンの原作も読みたくなりました。
原作の一節が載っていて、興味が湧きました。
「蜂蜜色の髪の毛はこめかみや頸にまきつき、陽光が脊椎の上のうぶ毛を光らせ肋骨の花車な線と…」と、この後にも長々とタジオの美しさを語っていて、オタク感あって面白いです(笑)
髪を黒く染め、おしろいをぬり、ほほ紅をさしてタジオを追う。そういえばそんな不気味なシーンあったかもしれないと思いました。
あの映画は不気味なんですよね。気持ち悪いと検索ワードに出てくるのも分かります(笑)
若い頃のビョルンに、もっともっと映画に出て欲しかったなぁと惜しい気持ちになります。ですがだからこそ、ベニスに死すの貴重さや価値が上がっているように思います。皮肉なことに。
もしたくさんの作品に出ていたら、シネアルバム1冊分、特集されていたかもしれません。
他のシネアルバムも気になります。
オードリー・ヘップバーンやジャッキー・チェンなど。
外国人だらけの中に渡哲也さんがいました。すごいです。
デラックス・シネアルバムというシリーズもあるのですが、マリリン・モンローが表紙で乳首モロだしでびっくりしました。
ちなみに芳賀書店さんは今は主に大人な本を取り扱っています。
純愛日記、見たことがないので見てみたいです。配信もレンタルも見当たらないので、DVDを購入するしかないようです。
ベニスに死すが初出演かと思っていました。この映画出演も、お祖母さんが勧めたのかもしれません。
「世界で一番〜」によると、とにかく有名にしたかったようですからね。
ビョルンにとっては嬉しくないことだったようですが、お祖母さんの気持ちもわからなくもないです。
これだけ美しく整った顔立ちをしている孫がいたら、スクリーンに出したくなります。
母に話したところ、食べさせていくには仕方なかったのよ!と言っていて、その視点はなかったと思いました。
確かに父も母もいない、年老いた祖母だけで子供たちを食べさせていくのは難しかったことでしょう。
本書の中でもビョルンの母が自害してしまったことが書いてありますが、「世界で一番〜」の中でビョルンが、「手を振ったら母が手を振りかえしてくれて、もう母と会えることはないだろうと思った」と語っていたことを思い出して泣きそうになります。
もう会えないと、たった5歳で直感し、その通りになってしまっただなんて、言葉に出来ない哀しみだったと思います。
大きくなったら母を守ると思うほど大切に想っていたのに。
幼い頃も悲しい思いをし、16歳になってからも、そしてその後も何度もつらい思いをしてきたビョルンですが、どうか今は幸せでありますようにと祈るばかりです。
おわりに
ネットで探せば今はビョルンの写真がたくさん出てきますが、本で見るのは味があります。
祈りを捧げるビョルンの美しいこと。
美しいと言われるのが嫌だったと言うビョルンに、美しいと言ってはいけないのかと悩みますが、思わず言いたくなってしまう抗いようのないこの気持ちは、ほんの少しアッシェンバッハの気持ちに近いのだろうかと思ったりします。
裏表紙にもビョルン。
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