原作漫画『おにいさまへ…』感想ネタバレ アニメとの結末の違いです。
ついに原作漫画を読みました。
アニメを視聴してから実に5年越しです。
だいぶ前に電子書籍で購入していたのですが、読むのが遅くなりました。
以下、重大なネタバレを含みます。
あらすじ
驚くべきことに、ストーリーはアニメとほぼ一緒でした。
アニメの感想記事に、時代が違うらしいと書いたのですが、時代も特に変わっているようには見えませんでした。
主人公の奈々子が、異母兄弟の兄と、兄とは知らずに「おにいさまになってください」と頼んで、文通し、手紙を通しておにいさまこと辺見に、自身の高校生活と成長を伝えていくお話です。
異母兄弟ですが、奈々子は再婚の際の連れ子なので、血は繋がっていません。
感想
アニメの時よりも、より奈々子のレズビアンが際立って感じました。
本気でサンジュストに恋してるんですね。
サンジュストはアニメと同じく命を失いますが、亡くなり方が異なります。
アニメでは電車に飛び込みましたが、漫画だとオーバードーズ(薬の大量摂取)で亡くなります。
表現などは違えど、ほぼストーリーは同じなのですが、大きく異なるのは結末でした。
かなり衝撃を受けました。
記憶違いかと思ってアニメを確認したのですが、やはりそうでした。
アニメでは薫の君は生きていますが、原作漫画だと亡くなっています。
アニメと最終回の空気があまりに異なって、まさに温度差で風邪を引く気分でした。
アニメだとドイツから辺見の手紙が届き、中には辺見と、赤ん坊を抱っこしてミルクをあげる薫の君の写真が入っていました。
おそらく、二人の子供でしょう。
そして、成長した奈々子に気になる人が出来た、というところで終わります。
漫画の方では、薫の君はドイツで亡くなり、その知らせを奈々子は手紙で知り、返事を書きました、という独白で終わります。
殆どアニメと同じストーリーなので、まさかこんな結末になるとは思わず、ものすごいショックでした。
漫画だと薫の君やサンジュストの言葉遣いが古い少女漫画特有の感じがする時があり面白いのですが、薫の君の名言があります。
薫の君が乳ガンであることを知り、涙を流す奈々子に、薫の君が「でもね このいっしゅんの重み いっしゅんのたいせつさは おまえさんにとっても わたしにとっても おなじことなんだよ!」と言いました。
手術をして乳房を切り取ったものの、5年の間に再発すれば、命はない。
その恐怖に怯えながらも、奈々子の生きる時間を最大限に尊重する姿勢に胸を打たれました。
普通であれば、余命が残り僅かな人の方が、健常者よりもずっと大切に思えます。
ですが、奈々子が高校でソロリティに入ったことで、様々な苦しみを味わい、サンジュストに出会って恋に落ち、友情に悪戦苦闘しているのを見た後なので、薫の君の言葉がすっと入ってきたんですね。
一瞬一瞬が、奈々子の成長を促し、人生に深みを与えていました。
そんな素敵な薫の君が、ドイツで亡くなり、手紙の短い文面のみで知らされ、奈々子が辺見に手紙を書いた、という言葉だけで終わってしまうのが何とも悲しく。
思わず理代子先生の鬼ぃ!と言いたくなりました(笑)
別の意味で辛い気持ちになったのは、マリ子の家庭環境でした。
妻子と愛人と同居ってあり得ないですよね。
しかも、小説家として芽が出ていない時に支えていた妻を捨て、女優に乗り換えるという。
よく聞く、糟糠の妻や彼女を、売れたら捨てるというやつですね。胸糞悪くなりました。
そのせいもあってか極度の男嫌いになったマリ子を、プレイボーイが狙うというのも少しモヤモヤしました。
ですがよく考えれば、モテない父がモテ始めて母を捨てたわけなので、初めからモテている人の方がマリ子にはいいのかもしれません。
おわりに
またアニメが見たくなってきました。2021年12月現在、Amazonプライムビデオで全話無料配信中です。
この機会をお見逃しなく。
絵がどぎついので食指が動かないかもしれませんが、見始めると引き込まれていきます。漫画とセットでぜひ。
池田理代子先生は本当に天才だと思いました。
話もですが、絵の美しさたるや。
奈々子が高校生になって制服を着て、「きのうまでのセーラー服のじぶんが ふしぎなほど子供に思えて」のワンシーンが特に好きです。
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