実写映画『どろろ』ノベライズ 小説 下巻 感想ネタバレ

実写映画『どろろ』ノベライズ 小説 下巻 感想ネタバレ

前回の上巻に続き、実写映画『どろろ』ノベライズ下巻の感想ネタバレです。

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どろろ〈下〉 (朝日文庫)

金たま

景光が魔物と契約する話を住職の魂から琵琶法師が聞く。

☆何事にも動じない住職がかっこよかったです。

百鬼丸が金たまを取り戻した時の様子がつぶさに描かれる。

・はじめて『肉の身を取り戻している』と感じた百鬼丸。

・寿海に「痛さを教えてくれ、ぶつけてくれ」と頼むが「それだけは勘弁してくれ」と言われた百鬼丸。
気になって石で自分の玉を殴った

軽く殴っただけなのに激痛で理不尽と思い、その理不尽さに肉の身を取り戻していると思った。

そして股間を押さえてうずくまりながら「こりゃぁ、痛えわ…!」とくすくす笑った。

・女と認めないどろろが体を洗えるように「日雇いへ行く」と言って、「体の匂いを消さなきゃアシがつく」と言い訳を作ってあげる優しい百鬼丸。

・百鬼丸は追剝(おいはぎ)を返り討ちにするため斬りころしていたが、痛みや苦しみが伝わってきて不快で出来る限り生かした。

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多宝丸

・飯屋で箸だけで5人倒す百鬼丸。
そこへ陣羽織を羽織った多宝丸が登場。

・紙一重で多宝丸の太刀を受け止めた百鬼丸。

・脹脛(ふくらはぎ)まである長い陣羽織の背一面に『蛇の巻きついた剣』の紋が大きく金糸で刺繍されていて、ぎらりぎらりと日に照り映えていた。

「俺はこの国の世継ぎだ」

☆かっこいいです。この前の新浄瑠璃百鬼丸でも多宝丸が圧倒的かっこよさでした。

舞台どろろでもかっこよかったですし、鳥海版や辻版でもかっこよく描かれていて、ディズニーのヴィランズのような悪役故のかっこよさがあるのだろうと思います。

各作者も意識してかっこよく描いています。

・陣羽織を脱ぎ捨て袖をざっくりと捲り上げた多宝丸が、血のような果実酒を注ぐ。

・紅い酒を呷り(あおり)飲む兄弟。

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母との再会

・兄弟たちの母の名前は百合

・錨柄で過去を思い出す百合。
錨は百合の生家、桜沢の裏家紋だった。
表の家紋は桜に水。

・心の中で百合は『多宝丸が帰ってきた』と思ってしまう。

・気を失った多宝丸を捨て置いて景光の下へ走る百合。
そして多宝丸の名を百鬼丸につけるつもりだったことを多宝丸に聞かれてしまう。

・立ち聞きしていることを見抜いた景光が脇差を扉に投げる。

・百合を深く愛していた景光。
政略婚ではなく、恋愛結婚

山犬と嘲笑われる家柄華族の血を引く名家で非難と密かな羨望を受けながら結婚した。

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・そのため魔物に子を渡したくはなかった。
国を獲られれば子もいずれ亡くなる、百合の命だけでも取ろうと迷うが賭けに出た。

・百合から百鬼丸を呼んでこいと言われ、「多宝丸とはどちらのことですか」と言う多宝丸。

・百鬼丸が景光の血を引くと知り、憎悪するどろろ。

「お父ちゃんが作ってくれた体を、幾つ捨ててきちまった…!?」
体を取り戻すほど憎い景光の血が戻る。

☆この考え方は新鮮でした。これまで百鬼丸にとって体を取り戻すことは当たり前なことで、喜びとして描かれていましたが、醍醐の血が戻る不快感という視点があったかと感心しました。

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親の仇

・どろろはお自夜が素手でお粥を食べさせてくれたことを思い出し、素手で凍った土を掘る。
深く掘ることはできず、雪に埋めた。
埋葬できなかったことを負い目に感じた。

鯖目の娘が親の仇を取りに薙刀を振るってどろろの命を狙う。

・己が親ごろしになっていたということに茫然とする百鬼丸。

・眼を取り戻した百鬼丸が見たどろろは女らしい女だった。
村人たちを通して見たどろろとは全く違った。

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忍び達

・都築(つづき)という景光の右腕であり多宝丸の幼い頃の文武両道の教育係がいる。

・多宝丸は元服を過ぎた頃からお忍びで街を歩き回っていた。

百合専有(らん)♀と(らい)♂という男女双子の忍びがいる。
二人とも男とも女ともつかない容貌。

陸奥と兵庫を思い出しました。特に嵐が陸奥に重なりました。
令和アニメはここから着想を得たのかと思いました。

・多宝丸も3人の専有の忍びを抱えている。

敏、斬、瞬
びん、ざん、しゅん

・紅い酒を呷りながら日めくりをめくるように百合の笑顔を思い出していた多宝丸。

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醍醐家

・澪たちの仇である金山(かなやま)の残党であり、百鬼丸に恋する少女、紗枝(さえ)。百鬼丸を走り抜ける流れ星のようと表す。

「産まれたばかりの百鬼丸を葬ることが出来なかったのは景光の弱さである」と魔物が言う。

・多宝丸ができてから、遺恨を残さないように戦ってきた。
魔物との力は多宝丸には受け継がれないため。
そのために国獲りが遅くなった。

「親なんかそうそうころせるもんじゃねえ。毎日面突き合わせてて、それで憎くて憎くて仕方がねえってんなら勢いあまって我忘れて…」

「会ったこともないならころしてやりたい以外の感情が湧くのではないか」と言うどろろ。

☆この台詞には感動しました。会わないからこそ美化される。

曼珠沙華が名前を出さずに『血のように赤い花』として出てくる。

・多宝丸は忍び達と4対1で百鬼丸を攻める。

☆令和アニメでは陸奥と兵庫、多宝丸対百鬼丸で3対1でしたがそれ以上でした。

・心を失くしたように思えた忍び達も百鬼丸の体の異様さに怖れを覚え始める。

・多宝丸だけを生かし、忍び達を斬った返り血で曼珠沙華を思い出す百鬼丸。

・多宝丸の左目を刺してしまった百鬼丸が「畜生…」と呻く。

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☆嵐(らん)が馬に飛び乗って百合を乗せたり、飛び降りて短剣を百鬼丸に突きつけて「下がれッ!」と言ったりかっこいいです。やはり陸奥が浮かびました。

・駆けつけた百合が多宝丸を抱き寄せる。

☆ここは令和アニメと違いますね。アニメでは見向きもしなかった。

金山との戦い

・多宝丸が百合の盾になろうとした時、嵐が「ここは私めが!若様は奥方様を乗せて馬で!」と叫ぶ。

・金山の由岐乃(ゆきの)という背の高い大弓を持った女が鬼神の如き形相で素早く矢を射放つ。

・嵐は短剣を口にくわえ、空いた手で多宝丸の手を取って駆け出そうとするが、「たわけ、刃を手から離すな!貴様の主を守れ!」と多宝丸に一喝され、躊躇したが多宝丸の言葉に従った。

「何があっても、母上を守れッ!」

・百合に向かった第二の矢を、多宝丸の声で気付いた嵐が百合を突き飛ばし、こめかみに矢を受けてしまう。

・第三の矢に脇腹を射られた百合が「お前達、逃げよ!」と我が子らに叫ぶ。
それを見た百鬼丸が初めて『母さん』という言葉を心に覚えた。

・百合はさらに投げられた槍を胸に受けて投げ飛ばされ、亡くなる。

・そして腿(もも)に怪我を負っていた多宝丸も斬られる。

・由岐乃が多宝丸の亡骸に唾を吐きかけた。

☆この表現は原作や昭和アニメの多宝丸が唾を吐くキャラクターだったからかなと思いました(笑)

それを見た百鬼丸、堪忍袋の緒が切れて金山側を次々と斬り伏せる。

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・百鬼丸に恋をしていた紗枝が「おぞましい鬼畜の落とし子、貴様には髪一本とて触れさせぬ!何が美しいものかッ!」と脇差を自らの喉に突きつけた。

☆誰も触りたいなど言っていないのに、勝手に好きになって勝手に触るなと騒いで煩い娘だなと思いました。

そこへどろろが割って入るが、紗枝はばんもんの真下が爆発して刀が喉に刺さり、舞い上げられて地面に叩きつけられた。

夏の青空に喉に突き立った脇差の刀身がきらりと光った。

・屍累々の中で『これが戦か』と分かった百鬼丸が「くだらねえ…ッ!」と言うのをどろろが

「おめえが生きてる…!それ以上のことがあるかってんだよッ!」と全身全霊で抱きしめ、涙した。その涙で百鬼丸の震えが静まっていった。

☆百鬼丸と景光の戦いが悲しいです。お互いが迷いを持ちながら剣を交えます。

「体を寄越せば多宝丸を蘇らせてやる」という魔物の甘言に景光は応えた。

・閉ざされていた景光の心が百鬼丸に見える。
生まれたばかりの多宝丸を抱き上げ、「お前は誰にも売らぬ…!健やかに育て…兄の分まで…!」と涙をこぼす景光の姿が見えた。

魔物と一体になった景光が百鬼丸に「斬れ!」と言い、百鬼丸が倒す。

・折れて飛んできた刃で百鬼丸の額に十字傷ができる。それを百鬼丸は醍醐家に入った証と捉えた。

心臓を取り戻した百鬼丸に景光が「御苦労であった…!」と言い、百鬼丸が初めて『父さん』と思った。

・取り戻した体の部位は二十四
多宝丸が百鬼丸の還りを待つ。
「真の一国の主たる主の還りを─心待ちに…!」

・どろろを置いていこうとする百鬼丸の股間をどろろが蹴る。さらに髪を掴み、額に膝蹴りを連打した上に鼻フック

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ラスト

・海にいる二人。その時百鬼丸は多宝丸の室(へや)にあった地球儀を思い出した。

・瓜を二人で食べ、舌を取り戻した百鬼丸は「なるほど、こりゃぁ…美味え」と言い、海と瓜は百鬼丸の『気に入り』になった。

・どろろが太鼓をトーンと高らかに叩いた。

この世はおよそ天国ではない。しかし少なくともその時は確かに

世界は、輝かしかった。
見渡されるかぎりの全てが輝かしかった。

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終わりに

ラストの締めが感動しました。爽やかな終わり方。かなり端折っていますので、実際に読むのをお勧めします。
こんな荒んだ人生では、海辺で瓜を食べるだけでも極上の幸せなのでしょう。

著者のNAKA 雅 MURA(なかむら まさる)さんは三池崇史監督と仲が良いそうです。
三池監督の作品も好きな方なので地味に嬉しいです。

今作はあらゆるどろろ作品の中で最も平和的で愛情に満ちた作品だと思います。

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