午前十時の映画祭『時計じかけのオレンジ』感想ネタバレ 考察 R18+です。
有名な時計じかけのオレンジを、午前十時の映画祭のリバイバル上映にて見てきました。
1971年公開、監督はシャイニングのスタンリー・キューブリックです。
原作は1962年発表のアンソニー・バージェス作の同名小説です。
バイオレンスな映画とは聞いていましたが、R18+とは思っていませんでした。
主演はマルコム・マクダウェルです。
タイトルの意味
Queer as a Clockwork Orange
時計じかけのオレンジのように奇妙な
表面上は普通に見えるが中身は奇妙なこと。
・マレー語で「orang(人)」を意味し、”A Clockwork Orange” 「時計じかけの人間」ともかけている。
・コックニー・ライミング・スラングと言って、ロンドン東部(イーストエンド)の労働者階級の人々が使っていたスラング。
・コックニーを真似て使う言葉をモックニーと呼ぶ。モック(真似事の、偽りの)とコックニーを合わせた造語。
劇中で主人公のアレックスが科学で残虐な性格を矯正された状態を示すそうです。
私としては矯正前もオレンジだと思いましたがね。普通ではないです。
追記
これとは別で劇中で頻繁に独特なスラングを使っていて、訳もないので何のことを言っているのか分からないことがままありました。何となくガリバーは体かな?と思ったくらいです。ホラーショーはホラーのショーかと思ったら違ったみたいです。
あらすじと結末

学生のアレックスは両親と暮らしている。一人息子で何不自由ない生活で、頭も良かった。しかし不登校になり、3人の仲間と夜な夜な悪事を働くようになっていた。
アレックスは語り手として自分の人生を語っていく。
ある時、強盗に入り、女性の命を奪ってしまった。仲間には裏切られ、一人逮捕されて懲役14年を言い渡される。
2年が経った頃、新しくできた矯正プログラムの実験で、2週間で出所できることを知り、同意書にサインをしてプログラムを受ける。
その内容は、拘束具をつけられ、瞼を閉じられないように固定され、暴力映像を延々と見せ続けられるというものだった。その実験の最中、彼が好きだったベートーヴェンの第九が流れており、彼はだんだん吐き気を催すようになり、第九にもパブロフの犬のように反応し、自害願望を抱くようになってしまった。
更生プログラム完了後、発案した内務大臣は成功と自分の支持率が上がることを喜んだ。
出所したアレックスが実家に帰ると、見知らぬ男が下宿しており、その男は両親を、自分を本当の息子のように接してくれている、お前は出て行けとアレックスを追い出した。
アレックスは泣きながら出ていくが、外でかつて仲間たちと袋叩きにしたホームレスに見つかり、大勢のホームレスに暴行される。それをかつての仲間だった男二人が助けたが、二人は警官になっており、アレックスだと分かると過去の恨みから痛めつけた。
命からがら邸宅に逃げ込んだアレックスだったが、そこはかつて自分が強盗に入り、主人の男を暴行し、その妻を性暴力した家だった。
犯行当時覆面をしていたため、当初は気付かれずに匿われたが、風呂場で犯行時に口ずさんでいた「雨に唄えば」を歌ったことにより、事が露呈。主人から恨まれる。
ワインに睡眠薬を入れられ、内務大臣の反対勢力に明け渡されたアレックスは、2階の部屋に閉じ込められ、大音量で第九を流された。精神的に追い詰められたアレックスは2階から飛び降り、瀕死の重傷を負った。
目が覚めると病室にいた。両親が覗き込んでいて、「いつでも戻っておいで」と言われる。そして内務大臣が来て、「更生プログラムを非人道的だと非難する反対勢力が君が亡くなることを望んでいる。そうすれば自分たちの主張が通るからだ。私に協力して欲しい。そうすれば君に充分なお金と就職先を用意する。どうすればいいか分かるね?」と言われ、アレックスは協力すると同意。
途端にマスコミが大勢病室に入ってきて、内務大臣と笑顔で寄り添う様子を写真に撮られた。アレックスの脳裏に女性が性暴力される映像が浮かぶ。
アレックスは「完璧に治ったね」と独白した。
感想
治ってないじゃんと思ったのですが、元の残虐性のある性格に戻った(治った)という事ですね。
内務大臣の更生プログラムは成功だったけれど、全身重傷を負ったショックで元に戻ってしまったなら意味なかったですね。確かに暴力や女性の裸に怯えて吐き気を催している様子は非人道的だと思いましたが、彼が非人道的な犯罪をいくつもしたわけで、複雑な心境になりました。
私としては、即時極刑で良かったと思います。収容所が一杯で大変ということでしたので。人の命を奪っている、強盗、性犯罪。充分、極刑に値すると思います。14年なんて短い。
あの2週間のプログラムは世にも奇妙な物語の懲役30日(1998)を思い出しました。インスピレーションを受けたのかもしれませんね。あれはもっと怖かったです。
本作も見た目のインパクトが強烈ですけどね。あんなに目をひん剥かれて。俳優さん、あの目の引っ掛け痛くなかったのかな。目薬は適宜点してもらってたけどすごく嫌ですね。
最初の登場シーンでそこそこ年齢いってると思ったので学生でびっくりしました。しかも実家暮らし。
15歳くらいの設定なんだそうです。役者さんは実年齢27歳でした。だよね。でも学生と分かると不思議と若く見えてきました。
暴行や性暴力のシーンが多くて辛かったです。まさに終わった後は吐き気を催しました。ホラーは好きだけど痛い系は苦手なんです。
女性の裸がたくさん出てきます。なんならアレックスも全裸になります。
普通にナンパしても二人の若い美女を引っ掛けられるルックスと性格を持っていながら、それでも強引に奪うことに走る。何が彼を駆り立てたのでしょう。

不思議に思いつつも、アレックスが収監されている間にあっさり息子の代替え品のような男を家に上げていたり、世間が同情していると分かると「いつでも帰っておいで」と言う軽薄さから少し察するものがあります。重大犯罪を犯した息子を叱咤することができない父親も。泣いてばかりの母親も。
あんな犯罪した息子なんて怖すぎるし関わりたくもないのは普通ですけどね。
現実でもありますよね。叱られたからって親を刺してしまったとか。子育てほど難しいものはないですね。子供が早くに親もただの一人の人間なんだと悟れればいいのですが。親のくせにと思うと恨むのですよ。親なら当然とか。
親は神様でもなければ牧師でも聖母でもなく未完成な一人の人間であると精神的に自立することですね。
観終わって記事を書き始めるまで、シャイニングと同じ監督とは知りませんでした。シャイニングは大好きな映画ですが、こっちは苦手ですね。あまりに陰鬱でグロテスクで。シャイニングも大概ですけど。思い返せばカメラワークが確かに特徴出てましたね。
誰しもにある願望、暴力性という人もいましたが、全くこんなことしたいとは思わないので、同類にしないで欲しいと思いました。憎い人を殴りたいと思うことはありますが、何の罪もない人を暴行したり性暴力したいなんて思ったことないです。この映画に共感してる人は犯罪者予備軍に見えます。シビュラシステムに引っかかるぞ。
あの邸宅で起きた凄惨な事件ですが、どうやら原作者をモデルにしているようなのです。写真を見てみて、見た目も寄せているのかと思いました。車椅子に乗っていて。彼の妻は4人の脱走兵に性暴力されたそうです。しかも妊娠中に。そして流産しました。皮肉にもそれが原動力になり、この小説が生まれたそうです。
劇中の邸宅の主人の演技がすごいんですよね。怒りに震えている様子や、雨に唄えばを聞いた時の白目を剥いている表情とか。襲われた際に下着つけないで服着るかな普通とか、入れてあげなさいって妻に言わなければと後悔したりしたんだろうなとか色々思いました。
言いたいこといっぱいあるので箇条書きします。
・アレックスの母親の髪色が紫なの面白い。大阪のおばちゃんみたいな髪型だし。
・ディムうぜ〜!
・一緒になって犯罪してたくせに警官になってイキってる二人腹たつ
・そんなに長く水に頭浸けてたら死んじゃう!
・暴行されそうになった女性を助けたから正義マンかと思ったら同じ穴の狢だった
・なんでミルク?なんだよあの悪趣味なドリンクバー。衛生面気になる。
・あのミルクバーのテーブルが女性が全裸でブリッジしてるやつなの悪趣味だけど何だか関心してしまった。陰毛もついてる。
・食べてるはずなのに山盛りパスタが全然減ってない。盛りすぎでは?※顔面ダイブのために必要なんだよね!
・ワイン絶対毒入ってるでしょと視聴者に思わせて勿体ぶってたよね。
・宅邸での事件の後、再度訪れた際に妻はどうなったんだろうと思わせてゴリマッチョが出てくるところ何だかちょっと面白くて悔しい
・戸愚呂兄弟みたいに車椅子ごと主人を運ぶゴリマッチョ
・つけま片目だけつけるのお洒落だな
・取ったら鏡につけとくというギャル仕草
・アレックスがパンツ脱いだ時にちょうど字幕で陰部隠れるのこれ字幕無くせば見える?と思った
・取調室にいたちょいおじ刑事かっこよかったなぁ
・股間に防具つけてるのかっこ悪い
・保護観察官が入れ歯水飲んでるのそういう嗜好かと思ったら気が付いてないだけだった。
・男性の陰部のオブジェでさつ害された猫屋敷おばさん好きだった。生きてて欲しかった。負けるなー!って思った。
・犯罪者の訪問に違和感を感じて警察に通報、さらに入ってきた犯人相手に鈍器で応戦し、「クソがき!」とキレてるところとか、頭も勘も良くて度胸もあるマダムでした。
・殴られた際にポップなイラスト出てきたのに亡くなったのつらい。でも絶対痛いと思ったし怖かったからポップなイラストで誤魔化されて良かったな。こんなところでちょっと監督の優しさ出された気がしてこんなところで出されてもなってちょっとイラついた。※映像技術的にそうした説もみよくの中であります

こんなところでしょうか。
おわりに

最悪で気持ち悪い映画でしたが、悪は更生しないという現実をしっかりと知らしめたこと、政治家の腐り具合や家族の絆とは、青少年の鬱屈とはなど色々考えさせられた名作だったと思います。もう見たくないけど。
長年気になっていた映画でしたので、見れてスッキリしました。ありがとう午前十時。


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