映画『さらば、わが愛/覇王別姫』リバイバル上映2025 公開初日 4Kリマスター版 感想ネタバレです。
渋谷ル・シネマで本日から上映開始の覇王別姫を見てきました。
映画『国宝』で話題になり、李監督も本作からインスピレーションを得たということで気になっておりました。
映画館で観たいと思いつつ、上映ないなーと思っていたので嬉しかったです。
本作は2008年3月に東村紀之さん主演で舞台化もされていました。東村さんはお顔が綺麗なのでとても衣裳が似合っていました。
概要
1993年公開の中国、香港、台湾の合作。
カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドール賞を受賞。他、受賞多数。
監督 チェン・カイコー
ル・シネマでの上映期間は6/27〜7/3までで、各日10:20〜13:25の1回のみです。7/4以降はスケジュール未定です。
主要キャスト
役名 キャスト名
程 蝶衣(チェン・ディエイー)/張 國榮(レスリー・チャン)
少年期 小豆
段 小樓(ドァン・シャオロウ)/張 豐毅(チャン・フォンイー)
少年期 石頭
菊仙(ジューシェン)/鞏 俐(コン・リー)
字幕だとフリガナ表記が異なった気がするのですが、正確に思い出せないのでwikiより。
翻訳はなっちゃん(戸田奈津子)でした。
あらすじと結末
京劇の劇団で生活する石頭と、娼婦の息子である小豆が出会ってからの役者人生と京劇の歴史を描く。
小豆は少女のような美しい見た目をしていたが、生まれつき指が6本あり、「そんな見た目では客が怖がるから役者になれない」と言われ、それを聞いた母によって端の指を包丁で切られた。
母は遊郭では育てられないからと劇団に小豆を入れる。
体罰を受けるなど、厳しい訓練を受けながら、小豆と石頭は大人になり、程 蝶衣、段 小樓という名前を得る。
覇王別姫を演じるなど、スターとして活躍したふたり。小樓は娼婦出身の菊仙と結婚する。蝶衣は小樓に恋しているため、反対した。
その後、時代に翻弄され、逮捕されたり拷問を受けたりなどして、小樓は蝶衣も妻をも裏切った。
失意で菊仙は自刃。その後、小樓と蝶衣は再び覇王別姫を演じる練習をするが、蝶衣は小道具の刀で自刃してしまった。
感想
正直なところ、つまらなかったです。ストーリーとしては。期待して行ったので、面白かったと言いたいところなのですが。国宝のあの感動を期待して行ったのが良くなかったのかも?似てはいても別物でしたので。
好きな人が読んだらいい気分はしないでしょうし、ここには良いと思った作品だけ記事にしたいのですが、せっかく李監督がインスピレーションを得た作品ですし、感想を書き留めておきます。
観終わってから、なにこれ超鬱映画じゃん。と思いました。国宝のレビューで、日本版覇王別姫と言っている人がいましたが、全然違います。かなり暗いです。
それと、国宝は喜久雄が人間国宝になるまでを中心に描いていますが、本作は京劇の歴史を中心に描いているように思いました。
前半がとにかく痛々しくグロいです。包丁で指切るとか、お尻を剣で叩く、子供の自害など。
追記
少年が老爺に性暴行されるシーンもあります。あれ老婆と思っていた人もいるみたいですが、男性ですよ。
登場人物が誰が誰だか分かりづらい、台詞も内容が掴みづらい、場面展開が急、後半が冗長で、まだ終わらないのかなと思いました。
小樓がめちゃめちゃ日本の芸能人に似てるなと思って、一生懸命誰か思い出していたのですが、たぶんモト冬樹と香川照之を足して二で割った感じだと思います。
小豆が一緒に舞台を観に行った男の子が、小豆が鞭打ちをされている間に自害してしまったのですが。
あれは、自分の番が怖くなって耐えきれなくて亡くなったのか、小豆のために命を絶ったのか、どちらなのだろうと考えました。
恐らく前者だと思います。俺は平気だ!と何度も強調して言ってたのが強がりだったのかなと。
小豆が最初女の子なのかと思ってました。女の子だから遊郭で育てるのは可哀想だと母が手放したのかと思ってたら男の子でした。
小樓が裏切ったシーンが辛かったです。あんなに漢気あった人なのに、弾圧されて妻のことを「愛していない。誰があんな女」と言ったのが。
娼婦の出自であることがここまで言われるとは時代ですかね。
レスリー・チャンは評判通り、とても美しかったです。22年前に鬱病で自刃されてしまいました。蝶衣と同じ結末ですね。映画に引っ張られたりとかあるのだろうか。
蝶衣の嫉妬がウザったかったり、可愛くもあったり、菊仙もウザかったのが、最後にはいい女だったなと思ったりしました。
日本軍が悪者として描かれていて、やっぱり中国の映画だもんなと思ったりしましたが、最後には日本軍は紳士だったかのようにも描かれていて、割と当時は日本は好意的に見られていたのかなと思いました。
実際の歴史で、戦争によって国交断絶が起こったものの、日本国内で京劇に対する関心は依然として持たれており、また日本公演も行われるようになったそうです。
おわりに
つまらなかったとは書きましたが、見て後悔はしていないです。京劇の歴史について知れましたし、どういうものなのか分かったのは勉強になりました。刺さる人には刺さる映画だと思います。それと、戦争や芸術への弾圧はあってはならないとあらためて思いました。ありがとうございました。
去年の海がきこえる以来のル・シネマでした。
追記
中国が制作に関わっている実写映画では、ラストエンペラー(1987)と麻花売りの女(1995)を思い出しました。どっちもトラウマです。中国映画は残酷なイメージがあります。
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