2月にはアップするつもりがずいぶん後ろ倒しになってしまいました(汗)
シリウスの伝説は、1981年に劇場公開されたサンリオの長編アニメーション大作です。
サンリオの創立20周年記念で制作されました。
幼少期に叔母がVHSに録画したものをくれて、何度も見ました。
感想ネタバレに入ります。
見たことがない方は、読む前にまずは見て欲しい名作です。
BDとDVDがありますが、BDが不評なのでDVDでいいと思います。
すべて手作業で8万枚の動画を描かれました。とてつもない作業量ですね。
3年もかけて製作されています。
NHK交響楽団が演奏しています。
ストーリーと音楽
『ロミオとジュリエット』になぞらえて作られていて、ロミジュリを見たことがある方なら、どういう結末を迎えるか分かると思います。
水の一族の王子シリウスと、火の一族の姫マルタの悲恋です。
キャストは古谷徹さんと小山茉美さん。
榊原郁恵さんも演じています。
チークという男の子のキャラクターですが、どことなく榊原さんに似て見えます。
このシリウスの伝説を心に残る名作たらしめたのは、劇中歌の
『時よゆるやかに』
であると考えています。
この歌が本当に素晴らしい。聴くたびに涙が出そうになる程、二人の愛の深さが伝わります。
曲もさることながら、歌詞もシリウスとマルタだけでなく、愛し合う恋人たちの幸せだけれど限られた時の中で会っている気持ちを思わせ、切なくなります。
サーカスというコーラスグループが歌っており、今年40周年記念コンサートを行いました。
2018年3月に40周年を迎えました。
記念アルバムです。
2/3の江東区文化センターホールのチケットは満席で取れませんでした。
3/21のチケットは残り僅かにあって、迷ったのですがシリウスの曲は歌わない気がしたので遠慮しました。
火曜日に見て残り僅かで、木曜日に見たらsold outになってました!
『愛のカンタータ』という曲もあります。
こちらは明るい雰囲気の曲です。
シリウスの伝説の曲が収録されているアルバムは中古でしか買えないと思って古いアルバムを買ったのですが、今見たらベストに入っていました。
音楽はドラクエの曲などを作ったすぎやまこういちさんが制作。どうりでいい曲なわけです。
言われてみれば、曲の始まりや重低音がドラクエっぽいです。
予告を見るだけで泣いてしまいました。
シリウスの伝説の原作・制作は辻 信太郎さん。なんと、サンリオの創業者でした!今年、御歳91歳になられています。
こんな素晴らしい作品を作ったなんて才能の塊です。
本題
感想に入ると言っておきながら、前置きが長くなりました。
過去の記憶を手繰り寄せる
まずは手元にあるこのDVDを見る前に覚えている印象的なシーンを語ります。
もう何十年も前なので断片的です。
シリウスの伝説はただ恋愛があるだけでなく、シリウスとマルタのそれぞれの親友の友情も泣けるんです。
ロミジュリと同じように、ふたりはそれぞれの王の大反対に遭い、仲を邪魔されます。
それを、ふたりの親友、チークとピアレが助けてくれるのですが、そのために親友たちは命を散らしてしまいます。
ピアレが見張りの目を誤魔化すために、自らの命を焚火に変えてしまうところ。つらいです。
チークも亡くなる時に確か大切な角を取っていたと思います。
ただふたりが愛し合いたいだけなのに、それだけの事を反対されたためにたくさんの命が消えました。
またよく覚えているのはシリウスとマルタがふたりで暮らせる星へ行く為に丸く空へ飛んでいく植物に乗って行こうとするのですが、シリウスが敵に邪魔されて間に合わず、すべて飛んでいってしまいました。
マルタは飛んでいく大きな丸い光に捕まり、必死で止めようとします。
これが悲しくて悲しくて。
そして何より、シリウスの目が見えなくなり、マルタを声だけで探し、呼びかけるところ。
マルタはもう私は女王になってしまった、もう遅い。と冷たく突き放すのですが、それでもマルタを愛しているシリウスは近付いていきます。
来ちゃだめ、というマルタの声も届かず、強い光に当たってシリウスは
「マルタ、好きだー!」
と叫び、亡くなってしまいます。
それを見たマルタが耐えられなくなり、炎のようになって駆け寄ります。
全身で悲しみを表していて、この時のマルタの悲しみは想像を絶すると思います。
兵士たちが近寄ろうとしますが、マルタはナイフを構えて威嚇しました。
この時のマルタの鬼のような形相が忘れられません。
そして、シリウスを抱き抱え、光の中へ消えていきました。
たしか、海だったと思います。マルタは火の精だから、海に入ればしんでしまう。
最後は年老いた亀がふたりは星になったのだと語って終わります。
二人の王はシリウスとマルタの心からの愛に胸を打たれ、仲直りしていました。
遅い。遅すぎます。
仲を引き裂こうとする意味なんてあったんだろうか。ないですね。
マルタがセクシーで、シリウスがメロメロになってた記憶があります。
女王になってからはシリウスの少年の見た目と相反するように大人の女性になりました。
これがまたセクシー。
そして、エンディングの絵画のようなイラスト。幻想的な絵がラストをさらに盛り上げます。
このEDの絵には、子供ながらに感動してました。
要点は覚えていましたが、細かいストーリーと感想はまた見てから書きます。
数十年ぶりに見た感想
シリウス 水の精の王子
アムロ・レイで知られる古谷徹さん
マルタ 火の精の姫でテミスの娘
アラレちゃんで知られる小山茉美さん
この二人は現実で一時期ご夫妻でした。
グラウコス 水の王 テミスの弟
テミス 火の女王 マルタの母でありグラウコスの姉
チーク シリウスの親友
ピアレ マルタの親友
モワル 長生きしている物知りな海亀でこの物語の語り部
他にも昭和どろろの声優の松島みのりさんも出演していました。
撮影協力には手塚治虫の虫プロダクションも携わっています。
グラウコスとテミスは仲睦まじい姉弟で一つの塊となり混じり合っていたが、それに嫉妬した風の怪物アルゴンが憎しみ合うような噂を流した。
それを間に受けた二人は憎しみ合い、水と火は分かれてしまった。
罰としてアルゴンは魔力を秘めた目玉を抜き取られ、海の底へ幽閉されました。
マルタは水の子は呪われた悪魔と教えられている
水の子は太陽の光に当たるとしんでしまう
火の子は水の中に入るとしんでしまう
もうすぐ16歳の誕生日の成人式を控えていたシリウスは篝火(かがりび)の守をしていたマルタと出会いますが、火の光に当てられて気を失ってしまいます。
シリウスがお化粧されているところが好きです。テミスやマルタもお化粧を施されています。
シリウスは成人したお祝いにアルゴンの目玉をネックレスにした物を受け取りました。
グラウコスとテミスはそれぞれ、マルタとシリウスを「なんて美しい、そなたの働きのお陰で海が静かだ」と同じことを言っていたのが笑えました。
マルタはテミスが私の娘と言っているので明確に娘ですが、グラウコスはシリウスがグラウコス様と呼んでいるので息子ではないのかなと思いました。
偉い父親を様付けで呼ぶというのも無きにしも非ずですけれど。
水面に映る篝火を見てマルタが「火と水が一緒になるとどうしてこんなに美しいのかしら」というところも好きです。
また夜にマルタに会いに行ったシリウス。お互いに相手をすぐに好きになってしまいます。
シリウスがマルタにメロメロで胸に顔を当てるところが可愛いです。二人は恋に落ちましたが、マルタが火の女王になる日が迫っていました。
90年に一度の日食を迎えると女王へと変身します。そうなると二人は一緒にはいられません。
シリウスをアニキと慕うチークは付いてくるなと言われていたのにシリウスの後を追い、そこでシリウスとマルタがキスしているところを見てしまいました。
シリウスがいない間に海にエレキ(電気クラゲ)が来て、海の仲間たちがやられてしまいます。
チークは火の子と仲良くしていればいいだろ!と怒り、シリウスと仲違いしました。
その後、ピアレもマルタとシリウスの逢瀬を目撃して二人の邪魔をしました。
マルタが悲しそうに別れの舞を踊るところが泣けます。
チャンスはマルタが女王になる、90年に一度の日食。
メビウスの丘に不思議なクライン草という紫の花が咲き、中から白い胞子が舞い上がります。
その胞子が火と水が暮らせる星へと飛んでいくため、二人が共に暮らすにはそれに乗る必要があります。
その日は5日後に迫っていました。
それを聞いていたシリウスを嫌うマブゼがグラウコスに告げ口をします。
そして話を聞いている間に篝火が消えてしまいます。
火の国の命である篝火が消えたことをテミスに知られたらシリウスがころされると嘆くマルタのために、ピアレが命を燃やして篝火になりました。
しかしすぐにテミスにばれ、マルタは追われ、シリウスとの仲が引き裂かれました。
幽閉されていたマルタが小さな三つ子たちに助けられるシーンが好きです。
何も言葉は発さないのですが音楽が陽気で可愛いです。
シリウスのことはチークが助けます。
アルゴンの目玉をグラウコスに返し、出してくれるよう頼んでくれとシリウスに頼まれたチークでしたが、アルゴンに奪われてしまいました。
その影響で海が荒れ、牢屋が壊れました。そして瓦礫に埋もれてチークはしんでしまいます。
その間にマルタはメビウスの丘を見つけました。しかし胞子はすべて飛び立ってしまいます。
そして日食が明け始め、そのまま火の女王になります。
そこへシリウスはやって来ましたが、太陽の光のせいか目が見えなくなっています。
マルタはもう遅いとシリウスを突き放しますが、シリウスはマルタの声を頼りに近づいていきます。
来てはいけないというマルタの声も届かず日食が完全に明け、シリウスは太陽の光を浴びてしんでしまいました。
泣き叫んだマルタはシリウスを抱きかかえて海の中へ入って命を落としました。
「誰が誰を愛そうとも、その愛に罪はない。火も水も元々ひとつの物であった。
お前たちなら、もう一度その世界を作り出せよう」
そう言ったグラウコスが二人を空へと放ち、二人は星(シリウス)になりました。
ラストはモワルが登場し、その後を語ります。
あれから何百回と日食が来て、火の子と水の子が平和に愛し合って暮らすようになったと言います。
時折争いが起きる度にモワルはシリウスたちの話をしています。
「愛するということは信じること。愛とは信じて疑わぬこと。
たとえ裏切られても愛とはひたすら信じ続けること。それが幸せな愛だと」
エンディングへ。
最後に
裏切られても信じ続けるって並大抵ではないなと思います。盲目であり続けるということで、それが正解と言えるかなと。
でも信じるということは本当に大事なことで、テミスとグラウコスは相手を信じなかったせいで争いが起きてしまいました。
マルタもシリウスが来なかったことを裏切られたと思って希望を捨ててしまいました。
恋愛だけではなくて友情などでも疑心暗鬼になっていい事ないですもんね。
何かあるなら話し合わないと。とても難しいことで、だからこそ、それこそが本物の愛と言えるのだろうなと思いました。
思いきり泣きました。いつまでも色褪せない名作です。
DVDは2千円しないくらいで買えます。映像が古くてもっと綺麗にリメイクして欲しいなと思いましたが、見ているうちに気にならなくなりました。
特典映像にはサンリオ映画の紹介入りです。手塚治虫のユニコの映像がありました。
動画配信もありますので手軽に見たい方はAmazonで見れます。ぜひ。
追記
シリウスは中国名で天狼星。刀ミュの幕末天狼傳を思い出します。
さらに追記です。リトルマーメイドがシリウスの伝説の影響を受けたのではないかと考えた共通点を挙げました。シリウスの伝説 新宿上映会での記事
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