『ある船頭の話』 オダギリジョー初長編監督作品 感想ネタバレです。
上映館
東京では新宿と立川の2館のみで、新宿武蔵野館で見ました。
初めて武蔵野館で見ましたが中は綺麗でお洒落でした。
来年で100周年を迎える老舗映画館です。
奥の方にはベンチもあります。
お抹茶クレープアイス食べました。
最初はかた!と思いましたが少し待つと程よい硬さで美味しかったです。
他にも坂本龍馬のクレープや八つ橋味のクレープなど個性豊かなバリエーションです。
学校の怪談2で行ったキネカ大森でのクランベリーポップコーンだとか映画館ごとに珍しくて美味しいメニューがあって楽しいです。
23区だと武蔵野館のみということもあってか、本作をかなり推してました。
水槽があり、本物の魚が泳いでました。
3つあるすべてのエレベータにはすべて本作の広告が。
直筆サイン入りポスターが!初めてオダギリジョーの生サイン見た気がします。
サインがなんて書いてあるか分からない人もいますがオダギリジョーは片仮名のおかげか分かりやすくて良かったです(笑)
スクラップボードも。
ここに書いてあるようにショートムービーは過去に制作していました。
見たことはありません。CDに収録されていた『バナナの皮』が気になってます。
ストーリー
オダジョーが10年前に構想したというお話で、青臭さを感じたのはそのためかなと思いました。
第76回 ヴェネチア国際映画祭に正式出品した意欲作です。
あらすじ
トイチ(柄本明)は船頭(せんどう)として生計を立てている。
しかし橋が作られ始め、自分の仕事がなくなるかもしれないと悩む。
村に住む源三(村上虹郎)はそんなトイチを慕い、橋をぶっ壊そうかと話す。
ある日、少女、ふう(川島鈴遥(りりか))が川で流されてきた。
怪我をして気を失っていたふうをトイチは助け、共に暮らす。
やがて橋はでき、船は利用されなくなった。そこへ町人の身なりをした源三がやってきた。
結末
ここから先はラストシーンです。見ていない方はご注意ください。
源三は以前の親しみが消え、トイチを呼び捨てにして冷たい人間になっていた。
トイチが町医者(橋爪功)の元へ診察を受けに行っている間に源三がふうを襲った。
トイチが帰ると首を切られて倒れた源三と、放心状態になっているふうが。
二人は住んでいた小屋を焼き、住み慣れた土地を捨て、船を出した。
感想
ストーリーの冒頭に青臭さと書きましたがオダギリジョーの少年のような願いが詰まった映画でした。
環境破壊や古き良きものが失われていく悲しさや、人が少しのことで変わってしまうことのつらさ、絆の脆さ。
一方で人の温かさも伝えたいという想い。
柄本明さんが素晴らしかったです。
見てて今は亡き親戚の叔父を思い出して切なくなりました。
源三が変わってしまったのがつらく、納得がいかなかったです。町に住んだくらいであんなに変わってしまうのか?と。
知識を身につけ、商人として成功したのでしょうが、それにしたってトイチに対する恩を忘れるような男には思えなかったのですが。
恩があるから、獣の毛皮を買ってやってるのかもしれませんが酷い対応です。
仁平(永瀬正敏)も父親(細野晴臣)の埋葬であれだけ助けてもらったのだから、もう少しトイチが村で生きられるようにするとか出来なかったのかなぁと寂しく思いました。
口では助けるとか感謝してると言っていても、実際に行動に移すことは難しいということでしょう。
頭の中にオダジョが歌う悲しくてやりきれないが流れてきました(笑)
このやるせないもやもやを誰かに告げようか
ゆったりとした人情ものかと思いきや、サスペンスホラー要素がありました。
トイチの無意識下にある負の感情が実体化した謎の少年が登場したり。
実験的な映画のようにも思えて、オダギリジョーの次回作が見たいと思いました。
会見では健康診断の結果があまり良くなく、残された自分の時間を改めて考え、映画を撮りたいと思ったと語っていたそうです。
その話を聞いた時は時が止まりました。前に書いた東京タワーの記事で心臓病のことを書きましたが、もしかしたらそのことかなと推測しました。
さっきインタビューを読んだのですが、今回の撮影でもストレスで口内炎がたくさん出来たりして神経質になっていたので、あまり無理はして欲しくないのですが何かを残したいという気持ちが高まっているのだろうと思います。
関係ないですが彼は見る度に髪型変わってて楽しいです(笑)
43歳には見えない若さです。
若く見えても内臓はやられてます。自愛して欲しいです。
おわりに
新宿武蔵野館では10月上旬まで上映の予定ですので、終了まで残り僅かです。
観客は若い女性が多いのかと思いきや、年配の方が多かったです。
他に若い男性も。予想外でした。前に参加した初日舞台挨拶では若い女性が多かったもので。
本人が来たのもあるでしょうね。この時の記事でも体調のこと心配してます(笑)
貴重なオダギリジョー監督の実質、初監督作品なのでぜひ映画館での鑑賞をお見逃しなく。
新宿武蔵野館は席の段差がなく、背が低い人は下の方の画面が見辛くなる可能性がありますので、前の方をお勧めします!
小話
全く関係ないのですが、本日は俳優 有澤樟太郎さんの24歳のお誕生日です。おめでとうございます!
舞台『今、僕は六本木の交差点に立つ』でオダジョーのような格好で登場するシーンがあったのもありねじ込みました(笑)
彼は今日、地元兵庫県の神戸市でヘブンズレコードという朗読劇に出演しました。
阪神・淡路大震災がテーマになった作品です。
なで肩であったり、声が低く落ち着いているところなどがどことなくオダギリジョーと通ずるものがあります。
この共通点はさっきの初日舞台挨拶の記事で発見しました。
唇がぽってりしてるところとかは思ってたんですけどね。
それと、今回の映画で青臭さやもやもやを感じたけれど、オダギリジョーの作りたかったものはこういうものなんだと過去の自分から再認識させられました。
インタビュー記事をいくつか読んでみて、理解を深めることも出来ました。
それでもやっぱり、さらに磨き上げられた監督作品を期待してしまいます。
このことが彼の最もすごいところだと思います。
くどいようですがまた歌も歌って欲しいです。
テンション上げたい時にたまにi don’t know聴いてます。
今後の活躍も、陰ながら応援してます♪
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