メゾン・ド・ヒミコ 感想ネタバレ 新宿東口映画祭2023 in 武蔵野館 涙はきっと暖かいです。
武蔵野館で見てきました。
恐らく17年ぶりくらいに観ました。
2005年の映画です。劇場で見るのは初めてです。
出演者一覧
役名 キャスト名
卑弥呼 田中泯
元ゲイバー卑弥呼のママでゲイ。バーを閉店し、ゲイの老人ホーム、メゾン・ド・ヒミコを開いた。
岸本春彦 オダギリジョー
卑弥呼の恋人
吉田沙織 柴咲コウ
卑弥呼の娘
細川専務 西島秀俊
沙織の上司
ホームの仲間たち
ルビイ 歌澤寅右衛門
息子と孫がいる
脳梗塞で倒れ、麻痺で話せなくなる。
仲間たちの判断でカミングアウトしていない息子に迎えに来てもらった。
山崎 青山吉良
女装が好きな元サラリーマン。
青山さんは本物のゲイです。
政木 柳澤愼一
元教師。女性と関係を持ったことがある。
淳也 田辺季正
春彦に惚れた中学生。
現在、俳優を引退されているようです。
他。
あらすじと結末
元ゲイバーのママ、卑弥呼がゲイのための老人ホーム、メゾン・ド・ヒミコを立ち上げた。
海辺の近くのホテルを利用している。
卑弥呼には妻子がいたが、離婚。
娘の沙織はそのことで卑弥呼を恨んでいた。
沙織の母は癌で亡くなった。その治療費のため、親戚中に借金をし、塗装会社の事務員として働いていたが、風俗バイトをするか悩むほどお金に困っていた。
そこへ卑弥呼の恋人、春彦が金を渡すから、老人ホームの世話を毎週日曜日にしないかと声をかけてきた。
初めは抵抗していた沙織だったが、遺産があるとも言われ、ついていった。
卑弥呼は末期がんになっていた。卑弥呼は春彦が勝手にやったことだと沙織を突き放す。沙織もまた、お金のためだと言い返す。
ホームのゲイたちと交流する中で、心を開いていく沙織。仲間の一人であるルビイが脳梗塞に倒れ、資金援助をしていたパトロンも脱税で逮捕され、メゾンの存続が危機に陥った。
沙織は遺産はいらないから、そのお金を使えと卑弥呼と春彦に言うが、遺産があるというのは春彦の嘘だと判明。
春彦は卑弥呼からバー時代の顧客名簿を渡され、一人一人に電話をして、寄付を募れ、それでもダメなら畳めと言われる。
そんな中、仲間の山崎が、バニーガールのバイトに落とされた沙織のためにバニーの服を用意した。
それをきっかけに山崎と沙織はファッションショーを行い、似合わないから好きな服が着れないと嘆いていた山崎と共に、ディスコへ繰り出した。
春彦と他の仲間たちも、女装をした山崎をエスコートするとして、正装して連れ立った。
しかし山崎がサラリーマン時代の部下と再会してしまい、思い切りオカマだと馬鹿にされ、ショックで倒れてしまった。
沙織は怒り、何度も謝れとその男に迫った。その様子を見ていた春彦は沙織に惹かれ、キスをした。
山崎の部屋を借り、二人は事に及ぼうとしたが、キス以上が出来なかった。
沙織は卑弥呼に連絡を取っていなかった筈の母の写真がなぜあるのか、妻子を捨て、ゲイとして醜く生きたことは後悔していないのかと問うた。
卑弥呼は、沙織の母が度々バーへ会いにきていた事、会いに来るときはいつもとびきりのお洒落をしてきていたこと、生き方を後悔はしていないと沙織に告げた。
それを聞いた沙織は、母が認知症になって自分を卑弥呼だと思って嬉しそうにしていて気持ち悪かった、やっぱり許すことはできないと言った。
卑弥呼はそれなら自分にも言わせて欲しい、あなたが好きよ、と沙織に言った。
ルビイの息子夫婦が孫と共に迎えに来たことに、沙織はルビイはカミングアウトをしていなく、性転換の手術をしているからバレるのに、なぜ任せたのだと仲間たちを責めた。
春彦は、一かばちかに賭けたんだと言うが、沙織は自分勝手に生き、動けなくなったら子供に頼るだなんて自分勝手だ、ホモなんて最低だとなおも仲間たちを詰った。
春彦は沙織に出て行けと言い、沙織は春彦にお盆のためにみんなで作ったおはぎを投げつけ、出て行った。
自暴自棄になった沙織は、処女にも関わらず上司の細川を煽り、抱かれ、涙した。
卑弥呼が亡くなり、荷物を引き取りに来た沙織。
バス停までの道で、春彦は細川と食事に行った際に、酔っ払った細川から、沙織との情事の様子を詳しく聞いたと沙織に話す。そして、ちょっと羨ましかった。お前がじゃなくて、細川さんが。と言い、沙織は泣き出した。
季節が冬になり、相変わらず沙織は会社で働いていた。
同僚から壁の落書きを消すという、新しい仕事の資料を渡された沙織は、再びメゾン・ド・ヒミコへと向かった。
春彦と仲間たちに迎えられ、笑顔でメゾンへ入っていく沙織。
メゾンの壁にはサオリに会いたいと書いてあった。
感想
こんなに面白かったっけ?と前半に思い、こんなにいい作品だったっけ?と後半に思いつつ滂沱してました。
若い頃はよく理解せずに見ていたと思います。オダギリジョー目当てで見て。
内容全然覚えていなかったのですけど、バス停までの道で沙織が泣くシーンだけは特に印象的で覚えていました。
ゲイであるが故に、想っていても沙織を抱けなかった春彦が、細川さんが羨ましかったと言うところが切ないです。
しかも沙織が処女だったのが辛いです。春彦がよかった(泣)
細川役の人、学校の怪談2の先生に雰囲気似ててかっこいいなと思ったら、まさかの西島秀俊でかなり驚きました。これまで西島秀俊をかっこいいと思ったことが一度もなかったので(失礼)
オダギリジョーの美しさにも驚きました。当時見た時は私も若かったからか、そんなに美しい!と思って見ていなかったのですが、今見ると美しさにびっくりします。
29歳くらいの頃ですね。この美しさから、今のイケおじになるとは恐るべしオダギリジョー。
すごい逆三角形だし、水泳やってたのかなとか、お尻の形が綺麗と思って見てました。全身美しい。
柴咲コウも、こんなセンター分けで両端をヘアピンで止めるというダサすぎる髪型でよくこんな美人だなと思いました。
ストーリーに関しては、卑弥呼役の田中泯さんの演技が良すぎました。
あなたが好きよの台詞、泣けて仕方なかったです。
沙織にしたらどうしたって許せる存在ではないし、母が自分に黙ってとびきりのお洒落をして離婚したゲイの父親に会いに行っていただなんてショックですよね。
それでも父親の愛なんてないと思っていた沙織にとって、心にずしっと来たんだろうなと。
ラストシーンの春彦のチューしていい?、忘れてましたけど、当時めっちゃくちゃ萌えてたと思います(笑)
オダギリジョーにチューしていい?と聞かれたら自分から行っちゃいます(笑)
沙織のマスクを手でずらすのがまたかっこいい。
だけどそれに対して沙織がダメっ!と言うのがまた可愛くて萌えます。
好きでもない細川には、キスだけって言ったでしょと強かに返していたのと対比になってまたいいなと。体が繋がることだけが、心が繋がることではないのだというメッセージに思えます。
山崎が女装で女子トイレに入るのはアウトだと思いました。今、ジェンダーレストイレや、LGBTだとか騒がれていますよね。女性にとって男性がトイレに入ってくるのは恐怖以外の何物でもないので、このシーンはアウトと思いました。
沙織が付き添いで一緒に行っていたので、まだよかったですが。
その後のダンスシーンは最高でした。あの歌好きです。「また逢う日まで」。
この曲のためにサントラを買ったとレビューしている方がいましたが、分かります。あの笑顔で手を繋いで踊るシーン、シュールだけど何だか感動するのですよね。
別れの曲。春彦と沙織の未来を暗示していたのですね。
あらすじに書けていませんが、悪ガキでホモ!と馬鹿にしていた中学生が、春彦に惚れて目覚めた子役の田辺季正さんの演技もとてもよかったです。
山崎役の青山吉良さんの迫真の演技も、胸を打たれました。ディスコでショックを受けて固まってしまう演技で、すごい人だなと思ったのですが、本物のゲイと知って納得しました。
もしも現実でそういう状況になったらと、想像できるのかなと。
途中でアニメシーンが出てくるのですが、もろにセーラームーンSSのパロで笑いました(笑)仮面はセーラーV入ってますね。
目の描き方とか思いっきりセーラームーンで。これは本家に許可取っているのか!?と気になります(笑)
ピキピキピッキー!のポーズを全力でやってる柴咲コウも可愛かったです。初見で気が付いてなかったと思うのですが、ラストの壁の落書きにも、書いてありました。
差出人が書いていない絵葉書が何枚もあったということは、ルビイの息子はカミングアウトしなくても分かっていたのではないかなと思います。そうであって欲しい。
おわりに
メゾンは卑弥呼が遺した顧客名簿のリストでなんとかなっていくか、春彦がなんとかすると思いました。
細川から春彦が、岸本建設の息子さんなんですねと言われていたので、想像するに、御坊ちゃまなのかなと。最悪、親を頼ってでも何とかしそうと思いました。
社長子息であり、跡取りであるが故にゲイであるという事実は重く、子孫を残すこともできないという苦しみと孤独があったのだろうと思います。
卑弥呼が自分に会いにくるのに毎度、気合いを入れてお洒落をしてくる元妻を、そういうところが可愛い人だったと言ったり、沙織が母にプレゼントした帽子があんまり似合っていたから写真に撮ったと語っていたのを聞くと、春彦と沙織も異性としては結ばれなくても、きっとそれと同じかそれ以上の深い絆を築けるだろうと確信します。
涙はきっと暖かい
懐かしいフレーズです。そういえばそうだったなと。ラストシーンのサオリに会いたいも感動したのをじんわり思い出しました。
時が経ち、時代が変わり、自分の環境も変わったりしたら、また感想が変わりそうな作品な気がします。
綺麗事だけでなく、沙織がズバッと忌憚なく自分勝手だと言い放ったのが気持ちがよかったです。正面切って隠さずに心を言える、だけど思いやりがある。沙織に会いたい。私もそう思いました。
エンドロールが黒のバックに黄色の文字なのがお洒落でした。監督の名前が最後に来ないところも粋です。
犬童一心監督。妻夫木聡、池脇千鶴主演のジョゼと虎と魚たちも監督されています。
ヒミコの後に上映だったのですが、遅くなるので諦めました。その前の殿、利息でござる!も見たかったです。前日の湯を沸かすほどの熱い愛も見たかったですし、映画祭のラインナップ最高でしたね。映画祭は8日まで開催しますので、行ける方はチェックしてみてください。
去年の同日6月4日には、窪塚洋介主演の『GO』が上映され、なんと舞台挨拶もしていたとのことで、行きたかったです。
去年と今年で推し二人の映画上映とは。武蔵野館、LOVEです。GOも柴咲コウがヒロインですし、推し二人のヒロイン役を務めたなど羨ましいです。
ベランダで海を眺める卑弥呼に春彦が日傘を差し出すシーンは、Wpc.IZAのCMを思わせて、冒頭の雨の中のシーンもですが、オダギリジョーはつくづく傘や雨が似合う人だなと思いました。
武蔵野館、いっぱい暖かい涙を流せました。ありがとうございました⭐︎
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